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7月8日


「総悟、誕生日おめでとう!今日は宴会やるぞ!」


庭で剣の素振りをしていた私は、この近藤さんの言葉を聞いて握っていた竹刀をすっ飛ばした。
沖田隊長の、誕生日…?………今日が?









「よーし今日は無礼講だ!じゃんじゃん飲めよー!」
「……」


かんぱーーーい、と、近藤局長がいつものごとくふんどしになって(女の私がいないときは全裸らしい)グラスを掲げると、みんなのグラスのぶつかり合う音が部屋に響きだした。
そんな中、私は一人隅っこで空のグラスを握っている。ああ、今すぐ消え去りたい。


「よう名字。どうしたんでィそんな隅で丸くなっちまって。飲まねェのかい?」
「…ありがとうございます。」


……しかしそんな私の願いが叶うはずもなく、今一番顔を会わせたくない人物に話しかけられてしまった。
沖田隊長のことだからきっと、私の気持ちを知っててわざと話しかけたんだ。そうに違いない。
沖田隊長が鬼嫁を片手に持ってきたから私はしょうがなくグラスを差し出す。
本当は飲みたくないのに。ていうか私お酒弱いって言ったじゃないですか。何で一番強いお酒持ってくるんですか。
そして隊長は未成年ですよね?まあ、今更つっこまないけど。


「そーだ見てくれよコレ。近藤さんからもらったんだけどすごくね?ブランドもんでィ。」
「すごい…ですね。」


ほらきた。近藤さんからもらったらしいブランドものの刀を私に見せびらかす沖田隊長。


「だろィ?あと土方からは犬のエサもらって山崎からは藁人形セットを…」


つまり沖田隊長が言いたいことはこうだ。「お前もプレゼントよこしやがれ」。


「〜〜〜ごめんなさいってば!私は何も用意してませんでした!」


私はもう半ばやけくそに頭を下げた。だって本当に何も用意してないんだから、あげようがないじゃないですか。


「え、まじで?隊長の誕生日に部下が何も無し?」
「だ、だって誕生日なんて知らなかったし…!知ったのだって今日だったんですからね!」


ありえなーい、とわざとらしくリアクションをする沖田隊長。
今日知ったばっかなのに、何が用意できるって言うんですか。
第一そういうことは前もって言っておくべきだと思うんですけど!いや、私が聞くべきだったのかな……
…で、でも、知らないものはしょうがないですよ!


「じゃあ一発芸か何かやってみろィ。」
「…嫌ですよ。」
「薄情なヤツ。」
「…明日でよければ何か…」
「俺は今欲しいんでィ。」


ああもうこの人は何が何でも私から何かぼったくる気だ。
今欲しいなんて言われても、だから私は何も用意してないんですって!
今からじゃろくなお店開いてないだろうし、即興のプレゼントなんて肩たたきくらいしかできない…あ、肩たたきでいいやもう。



「じゃあ肩たたき、で…!?」


気づいたときにはもう、沖田隊長の紅い目が私の目の前にあって、私の目と合うとニヤリ、と細くなった。


「肩たたきなんかで満足するわけねーだろィ。」
「な…な…今…!」


誕生日プレゼント、奪われました。





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