銀魂 | ナノ
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01


今日は7月20日。中学や高校ではこのくらいから夏休みで喜んでいるだろうけど残念、大学生はとっくのとんまに夏休みです。
今年の夏は地球温暖化の所為かまた去年にも増して暑い。今日だって40度くらいの真夏日だ。
そんな暑さにやられたのかしら。そうだ、今日1日を振り返ってみよう。

まず朝の星座占いではなんと1位。
占いどおりに鏡を磨いてから御飯の材料を買いに行ったところ丁度セール中でいつもの半額くらいに食費を抑えられて超ラッキー!
上機嫌で帰宅していると道の真ん中でキョロキョロしている青年を発見。
髪の毛がピンク色なのには驚いたけど、顔立ちはすごく可愛い。なんかうさぎみたい。


「どうしたんですか?」


と聞くと彼は、


「ここドコ?」


それから


「迷っちゃったんですか?」


と聞いたら……


ドゴォッ


私の背後のコンクリートが砕け散りました。目の前の青年はとても可愛い笑顔です。









「え……は……ええ!?」
「煩いなぁ。質問に答えてくれる?」


そんないつ私が気に障るようなことを言ったのか気になるところだけど、それよりもこの人素手でコンクリートを粉々にしてみせたよ!?
どこぞの格闘家ならまだしも、こんなスラっとした好青年が!しかもめちゃくちゃ笑顔で!可愛い!


ガッ


「聞いてんの?」
「ひぃいいいてまふーーー!!」


コンクリート粉々にした手で顔掴まれたァァアア!
な、何だよこの人笑顔可愛いくせにめちゃくちゃ怖いよ!手にこめられた力半端ないよ!骨格変わってしまうよ!


「こ、ここは氷室町ですけど…」
「どこソレ?地球?」


地球って、地球以外のどこがあると言うのだろうか。この青年、可愛い顔しておとぼけな…


「だから答えてくれる?」
「はい地球です!」


今度は何かされる前に答えてやったよ!
ちょっとその中途半端に上がった右手で何をしようと思ってたのかは気になるけどやっぱり知らない方がいいなと思いとりえあえず娘は無事ですお母さん。
私の答えを聞くと目の前の青年は「地球か…」なんて真剣に呟きながら何やら考えはじめました。
…この隙に私は逃げていいんだろうか。早くしないとドラマ始まっちゃうんだけどなぁ…。
でも何故か逃げちゃいけない気がする。私のなけなしの本能がそう言ってる気がする。


「ねえ、阿伏兎見なかった?」
「は……あぶと?」
「アゴヒゲのでかいおっさん。」
「………見てないと思います。」


あぶとって、お母さんもかっこいい名前をつけましたね。あぶとだって!かっこいい!
この人はあぶとさんとはぐれちゃったのかな?ん?となるとあぶとさんってこの人のお父さん?
じゃあこの人本当に迷子なんじゃん!何歳だろ……20…はいってないかな、多分。
あ、もしかして受験生?そーいえばうちの大学空手強かった気がする!
ウチの大学見学しに来て、観光してるうちにお父さんとはぐれちゃったのかな?
いやでも悪いけどここ観光するようなもん何もないよ?私も見学しにきたけどあまりもの何も無さに真っ直ぐ帰ったよ?


「じゃあとりあえず江戸まで連れてってよ。」
「……はい?」


江戸……って、江戸幕府のある江戸?
いやいや江戸幕府っていうのはうん百年前に徳川さんが開いたものでうん百年前に滅びたものだと日本史の教科書に書いてありましたけど…。
江戸って言ったら今の東京だっけ?あれどうだっけ?日本史なんて受験勉強以来してないもんですっかり……


「……」
「ごめんなさい答えまふッ答えまふからァァア!!」


今度は無言で掴んできやがったーーー!にっこりしてるけど言いたいことはわかるよ!「答えてくれる?」でしょ!?
でもほっぺた掴まれたら口がタコ状態で喋るに喋られませんからね!
それに見ず知らずの子にいきなり昔の地名言われてそこまで連れてけって言われたら誰でもいろいろ考えますからね!


「江戸っていうのは東京のことですか?」
「何それ?君江戸も知らないの?とんだ田舎娘だね。」
「違いますーー!私一応千葉出身だもん!隣だもん!デズニーランドあるもん!」


この子ってばどんだけふてぶてしいんだ!あぶとさん、いったいあなたはこの子に何を教えてきたの!
普段温厚な私でもね、こんなこと言われたら普通に怒りますよ?ええ普通の人間ですからね私は!
こんなの笑って見過ごせる程おしとやかじゃ……


「知らないんだったらもう君には用無いや。死んでよ。」
「ええええ!?ちょ、やだなァそんな冗談、アハハ…」


あああああもう何だって言うんだ!私が何をした!?
何故会って間もないこの少年に、江戸を知らない(いやいや知ってるってば一応!)からって殺されなきゃいけないの!?
目の前の彼は右手を私の頭上に構えているけど、まさかその手で私を殺すとでも言うんでしょうか。
いやでも現にその手でコンクリート砕いているわけだから私の頭なんて簡単に………あれ、これ本当に死ぬんじゃ?


「ー―――ッ」


目を閉じた瞬間、小学校、中学校、高校の思い出がスローモーションに瞼の裏に流れてきた。
これがとうそうま……あれ、そうとうま……違う……あ、走馬燈って言うのかな。
私決めたわ。これから占いなんて信じない。これのどこが1位なんだ。
仮にもしこれが1位だったら他の11星座のみなさんには一体何が起きているんだろう。さぞかし酷い死に方をしているんだろうな。
そう考えると私はまだマシなのかもしれない。最後に見れるのがものすごく可愛い顔なんだ。
ブサイクなハァハァしてるおじさんと比べると私は幸せ者だ。ありがとう少年、顔が整っていてくれて。
ただワガママが言えるなら……福山正治のライブに行きたかった……握手したかった……名前呼ばれたかった………結婚したかっ


トサ


「………え?」






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