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男の闘い



「フッフッフ!!…お前をおれの船に乗せる。」
「ええええ!?いやいやダメですよ!!」


あまりにも衝撃的な発言に吃驚。私は思わずフラミンゴさんから距離をとった。
何を言い出すんだこの人は!からかってるだけ…?ニヤニヤしてるけど表情はサングラスでよくわからない。とりあえず、精一杯お断りしとこう。


「私を仲間にしてもですね、役に立ちませんよ、そりゃあもう!驚く程に弱いですから私!そりゃあもう!」
「心配すんな。仲間っつーかおれのモンにするだけだ。」
「もっとダメですよ!!」


それってつまり「奴隷になれ」っていうことじゃないですか!
仲間になるより奴隷になった方が私の場合役に立ちそうなのはわかるけど……奴隷なんて絶対いやですよ!


「フッフッフッフ…!!」
「ひっ…」


私の拒絶なんてまるきり無視で、フラミンゴさんは一歩ずつ私に近づいてきた。
ひ、ひとまずこれは逃げた方が良い…よね!?私は白ひげ海賊団じゃなきゃ、ダメなんだ…!


「!?」
「フフ……フッフッフッフ!!」


後ずさろうとしたのに体が動かない。え?何これ、どういうこと!?頑張って力をこめてもビクともしない。私の体なのに…。
ふと前を見ると、相変わらず面白そうに笑いながら私に近づくフラミンゴさん。
ぎゃーやばい!これでは私とフラミンゴさんの距離は縮まるばかりじゃないか!あああどうしよう……


「火銃!!」
「!?」


もうダメだと思ったその瞬間、私とフラミンゴさんの間を炎が突き抜けた。炎……といったら、あの人しかいない…!


「ナマエ!!」
「エース隊長!」


大丈夫か?と心配そうに私に駆け寄るエース隊長に、私も駆け寄った。
……あれ、体が動く…。きっとエース隊長が何とかしてくれたんだ!


「ありがとうございますエース隊長!」
「!」


精一杯感謝の気持ちを伝えたら、エース隊長は私の顔を見てポカンとしてから顔を逸らした。帽子を深く被って顔が見えなくなった。…もしかして…怒ってる…?


「フッフッフ…!!こりゃァすげェのが出てきやがった。」
「ドンキホーテ・ドフラミンゴ……」


エース隊長は私に背中を向け、フラミンゴさんの名前を呼んだ。フラミンゴさんのこと知ってるんだ…。海賊って言ってたし、そりゃあ知ってるのかな。フラミンゴさんもエース隊長のこと知ってるみたいだし…。


「こいつに何か用か?」
「フフ……なァに、おれァそのお嬢ちゃんが欲しいだけだ。」
「……そりゃ無理な相談だな。」
「相談じゃねェ。おれァ海賊だぜ?」
「…おれも海賊だ。」
「フッフッフ……そりゃそうだ。」


エース隊長が片足を一歩後ろに引いた。もしかしなくても……戦闘体勢だ…。


「ナマエ。」
「はい!」
「ちょっと上に逃げてろ。」
「は、はい…!」


本当は戦ってほしくなんてないんだけど、エース隊長の声がいつもより低くて頷くことしかできなかった。
私はエース隊長の言った通り、体を綿にして空にフワフワ浮かび上がった。風が静かでよかった…。ほら、綿だから強風とか吹くと否応なしに飛ばされちゃうんです。……私って本当に役立たず…。


「ほォ…能力者か…。」
「ナマエは渡さねェ…。」
「フッフッフ…!火拳のエースがたかがクルー一人に大層な執着じゃねェか!」
「たかがクルーだと…?仲間なんだ、あたり前だろ。」
「エース隊長…」


私今、ものすごくじーんときました!


「それに……ナマエはおれの女だ。」
「!」


言われた途端、ぼっと顔が赤くなった。
た、確かにそういうことになれたんですけど、それって今この場で必要な情報ですか!?


「フフフ…フッフッフッフ!!」


そしてフラミンゴさんも何でここで笑うのですか。私とエース隊長じゃつりあわなさ過ぎるって言いたいんですかわかってますよもう!


「ますます欲しくなった…」
「火銃!!」


フラミンゴさんの言葉に間髪いれずに、エース隊長が攻撃した。いきなりそんな…!エース隊長…何だかすごく怒ってる…。
でもフラミンゴさんはエース隊長の炎を軽い身のこなしでひらりとかわしてしまった。


「フフフ…白ひげ海賊団で、火拳の女…か…。」


エース隊長を相手にこんな余裕な人…初めて見た…。もしかしてこの人、ものすごく強いんじゃ……


「エース隊長!」
「!」
「に、逃げましょうっ!!」


エース隊長が負けるなんて思ってないけど、私のせいでエース隊長がケガとかするのは嫌だ。ここは逃げるのが得策なんじゃないでしょうか…!


「……わかった。」


ボウッ


「ほっ!?」


エース隊長の了解を得てほっとしたところで、ものすごい爆風が私を襲った。
さっき言った通り、今の私は綿と同じ重さだからこんな強風が吹いたらそりゃまあ飛ばされますよね!ジェットコースターに乗ってる様な勢いで飛ばされてます、私!


「ナマエ!」
「!」


風に身を任せていると、エース隊長が下から跳んできて私に手を伸ばした。私はその手を両手で握って、風に乗る。
フラミンゴさんの姿は見えないけど、私達がいた場所に立ち上る炎は大分小さくなっていた。











「………」
「………」


き…気まずい……!!
無事フラミンゴさんから逃げられたのはいいんですけど、その……気まずいです、はい。エース隊長のおかげで10点満点の着地はできたものの、その時に「大丈夫か」「はい」の一言二言交わした以来、会話がありません…!
エース隊長は私の少し前を歩いていて、私はその後ろについていって……少し早歩きすれば追いつけるけど、その勇気がない。だってエース隊長…やっぱり怒ってる…!背中からひしひしと伝わってくる。
前の青キジさんの時といい、まったくこいつはトラブルばっかり起こしやがって…って怒ってるんだきっと…!


「エ、エース隊長…!」


少し駆け足でエース隊長に近づいて名前を呼ぶと、エース隊長は顔だけ私の方に向けた。


「ごめんなさい…!また…迷惑かけちゃって…」
「……」


無言で私を見るエース隊長の視線が気になって、私の言葉はどんどん尻すぼみになってしまった。


「私っ、一人でも逃げられるように特訓します!だから…、その……」


一緒に居させて下さい……そう言いたかったけど、言えなかった。エース隊長がまだ私を見てるのがわかって、視線もあげることができない。ど、どうしよう……本当に、怒らせちゃった……


「あ…や、悪ィ!違うんだ!」
「!」


耐え切れなくなって俯くと、頭にエース隊長の掌が降ってきた。
恐る恐るエース隊長を見上げると、怒った表情はしてなくて何だか焦っているように見えた。


「別に怒ってるわけじゃねェんだ。迷惑だとも思ってねェ。おれはお前を守りたいから、特訓とかも必要ねェ。」


肩に手を置かれて言い聞かせるように言われたので、エース隊長の言葉一つずつに私は頷いた。「守りたい」と言われた時に少しだけドキっとした。


「その……なんだ……あのな…」
「?」


私の肩に手を置いたまま、視線を泳がすエース隊長。ほんのりと頬が赤い気がする。


「すげェ……似合ってる。」
「!」


さっきまであちこちに泳いでいたエース隊長の視線は今、しっかりと私を見据えている。
今度は私が視線を逸らしたくなったけど、エース隊長がまっすぐ私を見つめてくるものだから逸らすことができなかった。


「可愛い。」
「!!」


爆発しそうな勢いで、私の頬が熱くなった。…絶対。
それを見てエース隊長がニッと意地悪に笑う。エース隊長だってさっき顔赤かったくせに…!


「でも珍しいな。ナマエがこういう服着るの。」
「は、はい。これはフラミンゴさんが…」
「……あいつが?」


言うと、エース隊長の眉間にシワが刻まれた。あからさまに怒った顔だ。急に恐くなったエース隊長の表情に、「ひっ」と悲鳴をあげそうになった。


「……ナマエ、それ脱げ。」
「えええ!?」


脱げってエース隊長……ええ!?な、何を仰りますか!!


「おれが違うの買ってやるから。」
「へ!?ほ!?」


そしてエース隊長は返事を待たずに、私の腕を掴んで歩き出してしまった。
向かった先は洋服屋さん。私は再び店員さんのなすがままとなりました。





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