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ENEMY!A


ルフィさんと衝撃的な出会いをした次の日。私はフラフラと海軍基地の廊下を歩いていた。
だって、生のルフィさんに会って、言葉も交わしちゃって、更には紫いもまんまであげちゃったんだよ?眠れるわけないじゃないか。
一目だけ見られれば諦めがつく……そう思ってたのに、正反対だ。
目を閉じればルフィさんの笑顔と声。もっと話したい、もっと知りたいという欲求がどんどん溢れてくる。
ああああ…好きすぎて、やばいです…


『全兵士に伝える!南の海岸に麦わらの一味を発見!ただちに出動せよ!』


廊下にあるスピーカーから軍曹的な声が聞こえた。
麦わら……って…麦わら!?ルフィさん!?


「こんなところにいた!早く行くぞ!!」
「え!?」


ぼーっと突っ立ってた私を引っ張ったのはリク。
昨日腹巻の人に小突かれたぐらいで気絶してたくせに、無駄にやる気だ。懲りてない。


「ま、待って…っ」
「?」


私は足に力を入れて踏みとどまった。
だって、またルフィさんを見ちゃったら……もう取り返しがつかなくなっちゃう気がする…!


「私っ…」
「……お前、部屋に麦わらの手配書貼ってるだろ。」
「…!」


リクの表情が真剣になる。
な、なんだ…リク、知ってたのか……。私がルフィさんのこと……


「麦わらに対して闘志を燃やしてるのは知ってる。一人でやりたいんだろうけど、相手はあの麦わらだ……海兵として皆で戦おうぜ!!」
「………」


何か変な解釈されてるーーー!!
もう何なのこいつ!うざ!あんたは2年間、私の何を見てきたっていうんだ!
向上心の欠片も無い私が大物ルーキー相手に闘志燃やすわけないじゃんか!別のもん燃やしてんだよ!恋してんだよ!
あーもう何でこいつこんな人間なんだろう!腹立つ!


「よし、行くぞ!」
「待てええええ」












「うおおおおおお」
「うわあああああ」


………ということで、きてしまいました、戦場に。
その中心にはルフィさんとそのお仲間さん数人がいて、周りを海兵達が取り囲んでいる。
が、どんどん吹っ飛ばされていく先輩に後輩。


「かっこいい……」


皆には悪いけど、私は戦うルフィさんに見とれて動けない。
まあ私が頑張ったとしても何の役にも立たずに終わるだろうから結果として変わらないはずだ。
あれ?ルフィさん、何か伸びてない?腕伸びてない?私に向かってきてない?


「ふふぉ!?」


ガシっと両腕をつかまれたかと思いきや、物凄い勢いで引っ張られて、気づけば目の前にルフィさん。


「お前昨日食いモンくれた奴だよな!」
「っ……!」


ルフィさんの顔があまりにも近いもんで声が出なかった。
変わりに一生懸命首を縦に振って肯定する。お、覚えててくれたんだ…。


「船の場所教えてくんねーか?」
「……はい。」


ルフィさんの頼みなんて…断れるわけないじゃないですか。









「来たぞ!麦わらの一味だァ!!」
「迎え撃てェェ!!」
「ちょっと待てェェ!!奴ら…人質を連れてやがる…!!」


私という人質のおかげで、北の海岸までルフィさん達はなんの妨害もなく辿りつけた。
船を見つけるとルフィさんは「あった!」と嬉しそうに笑った。
ああ、やっぱり笑った顔が一番好きだなァ…。


「ルフィ〜〜〜ゾロ〜〜〜」
「ったく、何やってんだよお前は…。」
「よし、みんな揃ったな!」


マストの柱のところに縄で縛られてるのは多分、ルフィさんの仲間だ。弱そうだけど。鼻長いけど。


「さ、行くわよ!準備して!」
「はァいナミすわんっ」


はっ…そういえばこのキュートかつグラマーな彼女もルフィさんの仲間ってことだよね…!?
むむむ……勝てる要素が何一つ思い浮かばない…!いやいや、大事なのは気持ちだもん!


『麦わらァーーー!』
「ん?」


船の下から拡声器を使った軍曹の声が聞こえてくる。
普段から大声なんだからそんなの使ったら煩くてしょうがない。


『今回は特別に見逃してやる……だから人質を解放しろォーー!』


ぐ、軍曹…!
口うるさいばかりの上司だと思ってたけど、そんなに私のこと…!
それにみんなも、私を犠牲にすれば大物ルーキーを捕らえられるのに…私の命を優先してくれてる。
私はいい上司と仲間を持ったなァ…。胸の奥がじーんとする。
でもね、えっと、乙女の私的にはもう少しルフィさんに担がれてたいなー…なんて?えへっ!


『お前達の目的は果たしたはずだ!早くそいつを…』
「イヤだ!!」
「「「!?」」」
「おれはこいつを仲間にする!!」
「へ……」
「「「……ええええ〜〜〜!?」」」


芸人顔負けのリアクションをする海兵達に、麦わらのクルー数名。
当の私はというと、状況についていけてない。
だって、あ、ありえないじゃん!私は弱っちいただの一海兵で、ルフィさんは大物ルーキーで……


「お前名前は?」
「…ナマエ、です…」
「よし…ナマエ!おれの船に乗れ!!」
「………はい。」


結局私は頷くことしかできないのだ。




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