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24

「おい嬢ちゃんもっと早く走れねーのかい。」
「む、無理です…!」


山賊に捕らえられたナマエは同じく山賊に捕らえられていた老人と牢屋を抜け出して走っていた。軽い身のこなしで前を走る老人…いったい何者なのだろうか。
牢屋を出る時に渡された宝石の入った袋……これは山賊の所持品ではないのだろうか。疑問は絶えないが、今はそんなことを聞いてる場合ではない。
おそらくナマエ達が逃げ出したことは山賊達にバレているだろう。一刻も早くアジトから出なければならない。


「!?」
「ナマエ…!?」


まっすぐ出口へ向かって走っていると、丁度手前の角からサボが現れた。


「あ、サボさ…っんん!?」
「!」


ボフン!


嬉しそうにサボに駆け寄ったナマエの背中を老人が押した。
走っていた勢いもあってナマエは前にのめり込んでしまい、地面に倒れこむ前にナマエを抱きとめたのがサボだ。
ウサギに変身したナマエはすっぽりとサボの腕の中に納まった。


「兄ちゃん、そいつ抱えて走ってくれい。」
「は……」
「さあ、スピードを上げるぞ。」
「!」


すると老人はさっきよりも走るスピードを速めた。
…もしかするとナマエが遅かったからあえてウサギにしてサボに運ばせたのかもしれない。








山賊のアジトから出ると、少し離れたところにディルとロジーが待機していた。


「ナマエ!」
「何でウサギになってんだよ…。」


ナマエの無事を確認したロジーは駆け寄ってウサギの姿になったナマエをその腕に抱きしめた。


「よかった…!おれ…っ、ごめん…!」
「ロジーが謝ることないよ。」


ナマエが自分を庇って山賊に捕まったことに対して少なからず罪悪感を感じているようだ。


ボフン!


そんなロジーを慰めようとナマエが鼻先を寄せたところで変身が解けた。
一糸纏わぬ人間の姿に戻ったがロジーは尚もその存在を確かめるようにナマエの体を抱きしめ続けた。よほど不安だったんだろう。
ナマエも最初こそ戸惑ったが、そこまで心配してくれてたのかと思うと少し嬉しくて、ロジーの頭を優しく撫でた。


「そーいやじいさんは?」
「…あれ。」


そういえば一緒に脱出した老人はいつの間にかどこかへ行ってしまっていた。
結局何者なのかはいまいちよくわからなかったが、呪いの解き方については教えてもらった。


「大丈夫、呪いの解き方については教えてもらったから。」
「マジか!?」
「その前にナマエ、服…!」
「あ…!す、すみません!」


この状況の中でサボだけが目のやり場に困っていた。





■■
エト族の人は普通の人より裸体に抵抗がないです。





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