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23:理想の話

「ねえねえ六道くん聞いて聞いて。」
「何ですか。今日はテンションが高いですね。」
「昨日ね、少女漫画っぽい出来事があったの。」
「?」


今日の私はご機嫌だ。今年入って一番ご機嫌かもしれない。
何故なら昨日、少女漫画で描かれそうなシチュエーションで素敵な男性と出会ってしまったから。


「遅刻しそうで急いでたら曲がり角で男の人とぶつかっちゃってさ。大丈夫ですかってめっちゃ低音ボイスで言われてすごくドキドキしたの。ロマンス始まるかと思ったの。」
「……」
「確かに顔は男前だったんだけどさ……リーゼントだったんだよねー…。」


掘りが深くてガタイが良くて……そこまではよかったんだけど、リーゼントヘアーはないわー。
もし彼が短髪だったら連絡先くらい聞けた気がする。


「……で?」
「え?惜しかったなって話。」
「……僕にどう反応しろと?」
「えー、この話友達にしたらものすごく盛り上がったのに。」
「弥勒さんは声フェチなんですね。」
「…そこどうでもよくない?」


やっぱり男子と女子では盛り上がるポイントが違うらしい。確かに私は声フェチだけれども。


「弥勒さんがそういうものに幻想を抱いてることが意外でした。」
「理想くらいあったっていいじゃないJKだもの。」


何それ。私だって人並み……というか多分人以上に少女漫画読んできゅんきゅんしてるもん。現実でときめくことがあまりないから漫画で補充してるんだよ。


「ほう。じゃあその理想とやらを聞きましょうか。」
「んーとね、出会いは……」
「待ちなさい、理想って出会いから決められるんですか?」
「え、そうだよ。」
「……」


六道くん、めんどくさそうな感情が全面に出ているよ。「聞く」と言ったからには聞いてもらうからね。


「出会いは偶然がいいな。毎日乗る電車が同じとか、本屋で同じ本を取ろうとして手が触れ合うとか…」
「……」
「告白はさりげなくしてほしいな。そろそろ付き合おうか、みたいな。」
「……」
「プロポーズも大袈裟なサプライズとかいらないからサラっとしてほしい。」
「……」
「子供は男の子かなー。そんで老後は……」
「もういいです。」




end≫≫
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