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02:ごはん



「へー、お前名前っていうのか。」
「名前ちゃん…いい名前だぁ〜〜!」
「ねえ名前、いくつか聞きたいことがあるんだけど…」
「うん、なに?」


ルフィ達に害は無いと判断した名前は3人を町の海鮮料理屋に連れてきていた。











「まず……西に森があるでしょ?あの戦闘痕は何?ただ事じゃないわ、あんなの。」
「あれは……」


ナミがこの島に来た時から気になっていたことを早速質問すると、名前は少し答えにくそうに視線を泳がせた。
いくら西の森の出来事だといってもあの戦闘痕……何かしらの情報は町に入っているはずだ。


「もしかして本当に怪物がいるのか!?ドラゴンか!?」
「安心してくれ名前ちゃん!例えドラゴンだろうがこのおれがミンチにしてやるさ〜〜!」
「ち、違うの!えっと……あれは海賊たちが……」
「海賊!?じゃあアレ人間の仕業なの!?」
「う、うん。」


木々をなぎ倒したのも、地面を抉ったのも、どうやら海賊…人間の仕業らしい。
名前が海賊のルフィに向かって「町の人に危害を加えないで」と言ったのは、この事件があったからなのかもしれない。


「生身の人間があんなことできるわけがねェ。能力者か?」
「名前、その海賊のこと知ってるか?」
「えっと……」


海賊のことを聞くと亜未はまた視線を泳がせた。
海賊について答えられない理由があるのだろうか。例えば……脅されている、とか。一つの仮定が成り立ったところで、サンジの目が名前の足をとらえた。


「…名前ちゃん。もしかしてその足の傷……そいつらにやられたんじゃねェか?」
「え…?」


立っている時はワンピースの裾に隠れてわからなかったが、座っている今、膝下にかけて包帯が巻かれているのが見える。
それに周りの人々が半そでやタンクトップで過ごしている中、長袖のカーディガンをきっちり羽織っている名前の姿は少し浮いていた。おそらく腕や肩にも巻かれている包帯を隠すためだろう。


「あ、ホントだ。怪我してんなお前。」
「その海賊、まだここら辺にいるのか?」
「………」
「教えてくれ。おれがぶっ飛ばしてやる!!」


沈黙する名前を見て仮定が確信へと変わっていく。そうなればやることはただ一つ。
名前とはついさっき出会ったばかりだが、ルフィを3億の賞金首と知りながら飲食店に案内してくれた。
ルフィの中ですでに友達と位置づけられた名前が傷つけられたのを黙って見過ごせるわけがない。
さっきまで肉やらパスタやらで膨れていたルフィの頬はすっかりしぼんで、真剣な眼差しで名前を見つめた。


「……ふふ。」
「…名前ちゃん?」
「ご、ごめんなさい。麦わらのルフィって、もっと怖い人だと思ってた。」


急に名前が笑ったかと思うと、ルフィの悪名と実物のギャップが面白かったらしい。


「で、そいつらはどこにいるんだ?」
「…ううん、もうこの島にはいない。」
「え?」
「だから、大丈夫!」


3人が真剣に自分を心配してくれるのが嬉しくて、名前はこれ以上心配させたくないという思いで満面の笑みを浮かべた。
実際に名前を傷つけた海賊はもうこの島から出て行っている。


「…そっか。大丈夫ならいーんだ。」
「名前ちゃん…!なんて素敵な笑顔なんだァ〜〜!!」
「この島のログが溜まるのは2日。…でも、明日には海軍の軍艦が来るから、あまり町には来ない方がいいかも。」
「えっ?何で……」
「あ!!」
「ん?どした?」


何故名前が海軍の動向を知っているのかとナミが聞く前に、名前は何かに気付いたように大きな声をあげた。


「ルフィ……西の森から来たって言ってたよね…?」
「ああ。」
「じゃあ船を泊めたのも西?」
「そーだぞ。」
「……危ない…!」
「「「?」」」


顔を青くした名前がイスから立ち上がった。












ところ変わってこちらは西の海岸、サニー号。
ルフィ、サンジ、ナミの帰りを待つ麦わらのクルーたちはそれぞれの時間を過ごしていた。
チョッパーとウソップは森の有様に恐怖して部屋の中にこもり、ロビンはその森の様子を眺め、フランキーは船のメンテナンス。


「ん……!?」


甲板の上で昼寝をしていたゾロは、禍々しい殺気を感じて目を開けた。
そしてすぐさま自分に迫ってくる金属を刀で受け止める。


ガキィィン


「へぇ…」
「…!?」


目の前にいたのは見知らぬ男で、受け止めたのはトンファーだった。
男は切れ長の瞳でまるで獲物を見るようにゾロを見定め、好戦的な笑みを浮かべている。
誰がどう見ても喧嘩を売っている。そしてゾロもその喧嘩を買う気満々である。


「君、ロロノア・ゾロだろ?」
「誰だてめェ…」
「もしかして……“浮雲”の雲雀…?」
「ロビン、知ってんのか?」
「ええ……ボンゴレ海賊団の…二億の賞金首よ。」
「二億!?」


ロビンによると男の名前は雲雀恭弥。ボンゴレ海賊団に所属する、二億の賞金首だと言う。懸賞金だけで言えばゾロよりも上だ。予期せぬ大物を相手に、ゾロは口角を上げた。


「君を、咬み殺す。」







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