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さて!ただ居るだけなんて嫌だから、そろそろ本格的に仕事探しをしなければ!
綱吉は何もしなくていいとか言ってたけど私が嫌なんだもん。こうなったら自力で見つけてやる。
「うーん…」
「おはようございます。」
「あ、おはようございます。」
…とはいっても、流石は金持ちのお屋敷。
使用人っていうのが何人もいるらしい。だから掃除とか洗濯は全部その人たちがやってるらしくて、この前手伝うと言ったら全力で遠慮された。
まあ…彼女たちもこれで生計をたててるわけだから仕事を奪っちゃあいけないよなあ。
となると料理…とも思ったけど、専属のシェフがいるらしいからダメ。
そもそもそこまで料理に自信ないし。私のごく普通の料理でみんなの肥えた舌を満足させられるとは思わない。
となると…うーん、他に何ができるんだろう…。
「ちゃお。どーした名前、そんな難しい顔をして。」
「リボーンくん。」
うんうんと唸って廊下を歩いていたら今日もビシっとスーツを着こなしたリボーンくん。
リボーンくんだったら何か仕事をくれるかも!
「あのさ、私何でもいいから仕事が欲しいの。」
「…ツナに言えばいいじゃねーか。」
「綱吉に言っても何もしなくていいって言うだけなんだもん。」
「……ついてこい。」
流石リボーンくん!何か仕事をくれるみたいです。
ちょっとリボーンが紹介する仕事ってスパルタそうで怖いけど、何も無いよりはマシだ。
「給仕室…?」
リボーンくんについていったら給仕室に辿り付きました。
「エスプレッソをいれてくれ。」
「え?」
そういうことって使用人さんがやってくれるんじゃ…
「名前がいれたのを飲みてェんだ。」
「……はーい。」
リボーンくんめ、また勝手に人の心を読んで…。
ていうか、もしかしてリボーンくんの仕事ってこれのこと?エスプレッソいれるだけ?
そういえば10年前も綱吉の家に行く度にエスプレッソをせがまれたっけ。
「はいどうぞ。」
「サンキュー。名前のいれるエスプレッソは独特な味がするんだ。」
「それって褒めてる?」
「俺はこの味が好きなんだ。」
「…ありがと。」
ついでに自分の分もいれてリボーンくんの向かいに座る。私のにはちゃんと砂糖を入れて。
そんな変な味するかなーと口をつけてみる。…うーんわからない。
「ねえリボーンくん、何か仕事ない?」
「これじゃ物足りねェのか?」
「うん。」
「じゃあ…」
コトリ、とカップを置いてリボーンくんが立ち上がったかと思ったら私の座っている椅子に手をついた。
「俺の愛人になるか?」
長い指で顎をすくわれる。
目の前までやってきたリボーンくんの顔は非常に整っていて、不適な笑みを浮かべている。
…何ですかこの色気。ていうかさ、リボーンくんって10年前1歳でしょ?だったら今11歳のはずでしょ?
……いやいやこの色気はありえないでしょ。私より年上の感じがするんだけど…
「…男の成長は早ェんだ。」
「…へえ。」
また読まれた。
成長早いにしても……早すぎでしょうよ。
「で、返事は?」
「あはは、遠慮します。」
やんわりと私の顎に触れていたリボーンくんの手を離れさせる。
「ククッ…やっぱいい女だな、名前。」
「はいはい、光栄です。」
「俺は本気だぞ?」
あんなに可愛かったリボーンくんはたった10年でここまでプレイボーイになってるなんてちょっとショック。
…いやでも昔からこんな感じだったか、リボーンくんは。
多分かっこよく成長したのがいけないんだよね。
ガチャッ
「名前…!!」
「?」
そんなところに血相を変えた綱吉が入ってきた。
「……!」
「ちゃお。また明日もよろしくな。」
「あ、うん。」
どうしたんだろうと思っていたら頬に柔らかい感触。
すぐにリボーンくんにキスされたんだってわかった。
もう、本当にマセてるんだから。
「リボーン、お前…」
「…女を追ってる暇があったら仕事しやがれ、ダメツナが。」
「な…!」
end≫≫
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