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赤司 × ドジっ子

赤司征十郎くん。洛山高校でこの名前を知らない人はいないんじゃないかっていうくらい有名な人。
テストは毎回一番。体育測定も毎回一番。頭脳明晰で運動神経抜群。いわゆるパーフェクト人間ってやつだ。部活はバスケ部で、一年生ながらにして実力を認められてキャプテンをやっているらしい。
そんな赤司くんはもちろん女の子にモテモテで、男の子からも一目置かれる……そんな存在。赤司くんについて話す人はだいたい「完璧すぎる」とか「クールなところがいいけどちょっと近寄りがたい」とか、そういうことばかり。
でも私が思う赤司くんとは、ちょっと違うんだよなあ。


「赤司くんおはよう!」
「…おはよう。」


今日も朝、教室に入って一番最初に挨拶を交わすのは隣の席の赤司くん。赤司くんは今日も廊下側から2番目の1番後ろの席で本を読んでいた。何の本なのかはブックカバーでわからないけど、私が来ると必ず赤司くんはその本を閉じて視線を合わせてくれる。
赤司くんの瞳は左右で色が違う。右目が赤で、左目が琥珀色。すごくすごく綺麗だと思う。あまりに綺麗すぎて、気を抜けばじーっと見つめてしまう程に。


「……名字。」
「あ、ごめん見すぎてた!」
「それは別にいいけど……ボタン、掛け違えてる。」
「ええ!?」


先ほど赤司くんをパーフェクト人間だと紹介しましたが、一方の私はというとこれまた真逆でいわゆるダメダメ人間なのです。そりゃあもう自分でも嫌気がさすくらいのドジっぷりだ。
今赤司くんに指摘されたように、ブレザーのボタンを掛け違えたままここまで来てしまったらしい。あああ恥ずかしい…!今日の朝はいつもより30分多く寝ちゃって急いでたからだ…!途中で会ったみっちゃん、何で教えてくれなかったの…!


「あああ、ありがとう…!」
「それから……襟に歯磨き粉がついてる。」
「ええ!?」


覚束ない手でブレザーのボタンを掛けなおしていると、赤司くんの手が私の首元に伸びてきた。赤司くんの手にはティッシュが握られていて、私の襟についてるらしい歯磨き粉を取ってくれているらしい。
「自分でやるよ」という前に歯磨き粉の除去は終わってしまったらしく、赤司くんは手に持っていたティッシュを丸めてすぐ後ろにあるゴミ箱に投げ入れた。ナイシューです赤司くん!私だったらこの距離でも外す自信あります!


「ありがとう赤司くん!」
「…一限目英語だけど、宿題はやってきた?」
「うん!でも私全然わからなくて……教えてもらえるかな…?」
「どこがわからなかったんだ?」
「えっと、ここなんだけど……」


私の身だしなみが整ったところでお互いに席について、私は英語の教科書を取り出す。
今日の宿題は本当に難しくて、最初の単語のところしかわからなかった。いや、単語のところも合ってる自信はない。赤司くんは頭良いからスラスラ解けたんだろうなあ…いいなあ、私にもその脳みそ分けてほしい。


「……名字。範囲間違えてるよ。」
「ええええ!?」
「そこはまだ習ってない。わからないのは当たり前だ。」
「う、うそ!?どどどうしよう!?」
「落ち着け。授業までまだ時間がある。」
「赤司くん…!」


ありがとう!と、私が精一杯お礼を言うと赤司くんは綺麗な両目を少しだけ細めて「どういたしまして」と微笑む。私はこの表情がたまらなく好きです。







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