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「たかし」って誰だ。


今の俺の頭は明日のテストのことよりも、部活のことよりも、「たかし」について考えている。
「たかし」っつーのは寝ぼけた夏目さんの口から出てきた名前。それはそれは愛おしそうにその名前を呼ぶものだから、夏目さんにとってそいつはすごくすごく大切なんだろう。
夏目さんにそこまで想われている羨ましい奴はいったい何者なのか…そして夏目さんとどういう関係なのか……気になる。ものすごく気になる。
だけど聞いていいものか…。夏目さんに対して踏み込んだ質問をするのは少し抵抗がある。困らせてしまうんじゃないかって。
けど、夏目さんが好きな俺にとって、「たかし」が夏目さんにとってどんな存在なのかってのは死活問題なわけで……あーーーもう!決めた!聞く!


「夏目さん。」
「なに?高尾くん。」
「あのさ……"たかし"って、誰…?」
「!」


言っちまった。言っちまったもんはしょうがない。もう撤回できない。その名前を聞くと夏目さんは目を見開いて驚いた。


「何で高尾くんが……」
「ほ、ほら!この前家でテスト勉強した時に寝言で言ってたから……誰なのかなーって!」
「そうだったんだ……。」


説明したら人の家で居眠りをしたことを思い出して恥ずかしそうに顔を赤くした。可愛い……じゃなくて!


「貴志は、私の双子の兄なの。」
「へっ…!?」


予想外の答えに今度は俺が目を見開く。


「夏目さん兄弟いたの!?しかも双子!?」
「う、うん…。」


そっか……「たかし」は兄弟だったのか。…めちゃくちゃ安心した。


「お兄さんは別の高校?」
「兄は、九州の方で別の家族にお世話になってるの。」
「!」


九州って……めちゃくちゃ遠いじゃねーか。気軽に会える距離じゃない。


「ほら、学費とか……二人だとかなり負担になるから。中学からは別々の家庭に預けられてたの。」
「そっか…。」
「あ、でも、兄も今はすごくいい人たちにお世話になってるみたいで、幸せそうで……」
「連絡はとれてるの?」
「うん。たまに電話したり、手紙をくれたり。」


そうやって兄のことを話してくれた夏目さんは幸せそうだった。





■■
ここまでです。
閲覧ありがとうございました。





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