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紫の理解者


名前ちんのことは好き。だってお菓子くれるから。


「おーいむっくーん!」
「あ、名前ちんだー。」


名前ちんは俺を見つけると必ず声をかけてくれる。だから俺もちっこい名前ちんに気づける。
今年はクラス離れちゃったから毎日は会えないけど、それでも週に3回くらいは購買で会っていた。特に約束とかはしてないんだけどねー。


「それ何味?」
「てりマヨ味。」
「あー、流石いいチョイスしてるね。私の2位だよそれ。」
「ふーん。1位はー?」
「コンポタ!」
「普通じゃん。」
「何事もね、王道というのが一番美味しくできているんだよ。ポテチ然りMAJIバーガー然り……」


名前ちんのお菓子評論はよくわからないから適当に聞き流す。俺は美味しければ何でもいーや。
でも新作の味とかは食べたいから、そういう情報はいつも彩弥ちんからもらう。すごく詳しいんだよね。


「そーいえばこの前名前ちんからもらった味、売店に売ってなかったよ。」
「あー、あれはうちの近くのコンビニで買ったやつ。」


この前もらったヤツってのは、鬼ごっこの時にもらったヤツ。
本当は名前ちん捕まえようと思ってたんだけど、まいう棒の新作味が視界に入ったらそちゃそっちいくよねー。食べてみたらすげーうまくて、でも売店には置いてなくてがっかりした。


「また買ってきてよ。」
「ふふふ、そう言うと思ってね、買ってきてありますー。」


近くにはないとわかっても俺はどーしても食べたかったからワガママを言うと、名前ちんはニヤリと笑って俺が求めていたまいう棒を出してきた。


「……名前ちんすごい。」
「むっくんのお菓子の好みは親より知ってる自信あるからね。」


名前ちんは心が読めるんじゃないかってくらい俺の考えてることを当ててくる。例えば今日はまいう棒じゃなくてポテチの気分とか、甘い物が食べたい気分とか……名前ちんは俺が欲しい物をいつもくれる。
前に「何で俺が食べたい物わかるの?」と聞いたら「むっくんはわかりやすい」と返ってきた。他の人からは「何考えてるかわからない」ってよく言われるんだけどなー。多分、誰よりも俺のことよく理解してくれてるのは名前ちんなんだと思う。


「じゃーこれあげる。」
「あ!これ福山さんがCMしてるやつ!ありがとー。」


だから俺も、名前ちんの一番の理解者でありたい。







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