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AFTER1

侑くんとお付き合いすることになって初めてのデート。今まであまり行く機会のなかった動物園はすごくすごく楽しくて、2人して子供みたいにはしゃいでしまった。
侑くんはやっぱり素敵な男の子で、さりげなく手を繋いでくれたり、お手洗いのタイミングを気にしてくれたり、ああ大事にしてくれてるんだなってすごくドキドキした。


「名前ちゃん見てやコレ、レッサーパンダが立ったとこ。」
「わあ、いつの間に!その写真欲しい!」
「おう、今送ったる。」
「ありがとう。」


終電で帰るって言うからその時間まで私の家でのんびりすることになった。今日撮った写真を2人で振り返って、幸せな時間の余韻に浸る。
もちろん可愛い動物たちの写真は気になるけれど、私は今それ以上に別のことに気がいってしまっている。
……ちゅう、するのかな……。だって、お付き合いしてるわけだし、家で2人っきりなわけだし……!


「やっぱライオンが一番かっこええな!」
「ふふ、そうだね。」


……という感じで私は内心めちゃくちゃ意識してるんだけど、さっきから全然そういう雰囲気はしない。
いや、別にいいんだけどね!?全然楽しいからいいんだけど!なんか私ばっかり意識しちゃってて恥ずかしいなあ……ちゃんと今の会話に集中しなきゃ。


「この前な、家の近くに白黒の猫がおってん。」
「えっ、本当?」
「写真見る?」
「見る!」


侑くんの手の中のスマホを覗き込むと、白黒の猫がまるまって寝てる写真が写っていた。


「かわっ……!」


あまりの可愛さに感動して侑くんを見上げたその瞬間に、侑くんの顔が迫ってきてキスされた。すっかりキスのことを忘れていた私は思いっきり不意打ちをくらってしまった。唇を離した後、目の前の侑くんはイタズラが成功した子供のように笑っていた。


「フッフ……名前ちゃんずーっとそわそわしてたもんなぁ。」
「うっ…」
「キスまだかなーって思てたんやろ?バレバレ。」
「!!」


どうやら私がキスを期待していたことは侑くんにバレバレだったようだ。恥ずかしすぎる……!
それがわかっててわざと不意打ちでキスするなんて、侑くんは意地悪だ。けれどその意地悪な笑顔にキュンとしてしまう私は本当に侑くんのことが好きなんだと思った。


「あの……」
「ん?」
「い、今の不意打ちだったから……もう一回。」
「あー……やっぱ名前ちゃんには敵わんなぁ。」





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