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12

 
というわけで。俺がワガママを通すような形で名前ちゃんとのお付き合いが始まった。
あの後治に「かっこ悪かったで」って言われたけど、あんなん聞かされて引きさがれるわけないやんか。もちろんお付き合いの方は順調や。


「今日の試合絶好調だったね。」
「おう、自分でもどんだけサービスエースとるんやって思たわ。」


今日は俺の試合を見に神奈川まで来て貰った。
相変わらずバレーの話ばっかやけど前と違うことはしっかり手を握ってるってこと。俺の手に絡まる名前ちゃんの小さくて白い手を見ると心がこれでもかって程満たされる。


「リベロの人もすごかったなぁ。名前何だっけ?」
「……教えへん。」
「え。」
「すごいって言うの俺だけにして。」
「! も、もう……。」


でもやっぱり不安になる。俺ばっか好きで、他にええ男が現れたら名前ちゃん取られてまうんやないかと思ってまう。本当余裕なくてかっこ悪い。こんなん初めてや。


「私だって……」
「ん?」
「私だって、侑くんが他の女の子にキャーキャー言われるの、嫌だったよ。」
「!」


え……それってつまり、嫉妬してくれたってことやん。


「私以外の女の子に応援されないで……とか言ったら困るでしょ?」
「わかった。」
「へっ」
「これからは女子の声援禁止にするわ。」
「え!?何もそこまで……!」
「名前ちゃんの可愛いお願いやもん。聞いてあげたい。」


そんな可愛いお願いされたら全力で叶えてあげたいて思うやんか。元々名前ちゃんの応援さえあれば他の声はいらんねん。


「い、いいよ我慢できるし!」
「え、俺への愛はその程度なんか……ショック!」
「もー……」


ヤキモチ焼いてくれたんが嬉しくてついからかうような態度をとってしまった。ちょっと照れて唇を尖らす名前ちゃんはめっちゃかわええ。ちゅーしたい。


「私、ちゃんと侑くんのこと好きだよ。」
「!」
「侑くんは前に惚れた方が負けって言ってたけど……多分今は逆転しちゃってるんじゃないかなってくらい、好き。」


え、ちょお待って、何なんいきなり。殺し文句のオンパレードに俺の頭がついていけへん。録音したい。


「侑くんに好きになってもらえてよかった。ありがとう。」
「あー……もう、何なん急に……」
「えへへ、伝えたくなったの。」


何やその笑顔可愛すぎか。きっとこの笑顔を見れたんは俺だけや。あーもう、好き。めちゃくちゃ好き。どんだけ俺のこと悩殺すれば気が済むん。


「あのさ、明日休み?」
「うん。」
「今日俺んち、泊まってかへん?」
「!」


そういうことならこっちやって遠慮せん。俺の言葉の意味を理解した名前ちゃんは顔を赤くして頷いた。
この可愛い女の子を、ゆっくり、大事に、愛してあげんとな。





■■
ワガママで独占欲強い宮侑を書けて満足です。
閲覧、応援コメントありがとうございました!



( 2018.5-7 )

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