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05

 
「なあ、烏野のリベロくんとは仲ええの?」
「ノヤくん?」


お買い物の帰り道、侑くんに聞かれた。烏野のリベロって……ノヤくんのことだよね。何で今ノヤくんが出てくるんだろう?試合したから認識あるのはわかるけど。あ、やっぱり侑くんから見てもノヤくんはすごいレシーバーだったから印象に残ってるのかな?だとしたら嬉しいなあ。


「うん、いいと思う。」
「この前駅んとこで見かけたけど、名前ちゃんめっちゃ笑顔やったよな。」
「え……そうだった?久しぶりに会えたからかな。」
「ん。めっちゃかわええ笑顔やった。」
「かっ……!?」


どうやらこの前、夜久さんの試合を一緒に見に行ったところを見られていたらしい。
可愛いと言われて顔に熱が集まった。言われ慣れてないからうまい返し方がわからないや。


「あのリベロくんは名前ちゃんの特別なん?」
「え……?」


少し照れる私に対して侑くんは淡々と続ける。何だろう……侑くん、なんとなく雰囲気が変わったような……。よくわからないけど、この質問にはちゃんと答えなきゃいけないような気がした。


「私、実は一回バレー辞めてるの。それで、もう一度バレーをやるきっかけをくれたのがノヤくんだったから……うん、そうだね。特別なのかも。」
「……そか。」


ノヤくんがいなかったらきっと、私今ここにいなかった。そう思うとやっぱりノヤくんは私にとって特別な人なんだと思う。


「えっと……ここまででいいよ。送ってくれてありがとう。」
「……」


それから家に着くまでの数分間、侑くんは何も喋らなかった。なんか気まずい。どうしたんだろう。私、侑くんが怒るようなこと言ってしまったのかな。


「あんな、名前ちゃん全然気づいてへんから言っとくけど……」
「え?」


気が付いたら侑くんとの距離が近かった。
居心地が悪くて後ずさると、一歩下がっただけでアパートの壁に背中がついてしまった。服越しに少し冷たさを感じた。


「俺、名前ちゃんの特別になりたい。」
「え……え!?」


それってどういうこと?なんて、とても聞ける雰囲気じゃなかった。
マグカップが入った紙袋を持つ手に、侑くんの大きな手が添えられて今度は顔が近づいてくる。


「コレ使う度、俺のこと思い出してな。」
「……!!」


たった10センチくらいの距離に侑くんの顔がある。いつもは穏やかな笑顔なのに、この時はなんだか少し怖いと思った。


「今日は楽しかった。またデートしよな。」
「……」


ドキドキしすぎて、私は頷くことしかできなかった。






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