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13

 
来週ACに持っていく資料が出来上がった。部長にもOKを貰ってあとは人数分コピーして綴じるだけだ。


「私コピーしてくるよ。」
「俺もやるよ。」
「赤葦くんこの前の旅費精算出てないから、それ書いてからにして。」
「……わかった。」


赤葦くんが社内の書類を提出し忘れるなんて珍しい。そりゃそうだ、赤葦くんが担当してる法人はたくさんある。そんな中でこんな大型案件を持ってきたら手いっぱいにもなる。
告白から1週間……仕事のおかげもあっていつも通りの日常になりつつある。もちろん流すつもりなんてない。そろそろ返事をしなくちゃいけない。
今答えを出せと言われたら、私は赤葦くんの告白を受け入れると思う。でも本当にいいんだろうか。あれこれ考えて出した答えは本当に正しいんだろうかと、覚悟を決められない自分がいた。


「名字さん。」
「あれ、早いね。後は綴じるだけだよ。」
「ありがとう、助かった。」


コピーをし終えたところで赤葦くんがコピー室にやってきた。
そもそも赤葦くんは私のどこが好きなんだろう。いつから好きなんだったんだろう。赤葦くんならもっとスペックの高い女性を狙えるはずなのに。
そんなことを思いながら整った顔を眺めていたら目が合って、慌てて話題を振った。


「最近赤葦くん仕事量増えたよね。」
「これのこと?」
「これもそうだけど……明らかにアポ件数多いよ。」
「……」


指摘をしたら黙ってしまった。別に説教するつもりじゃなかったんだけど……偉そうだったかな。


「……仕事してないとネガティブなことばっか考えちゃうから。」
「え、何か……」


何か悩み事があるのかと聞こうとして飲み込んだ。


「誰かさんのせいでね。」
「……申し訳ない。」


赤葦くんを悩ませてるのは他でもない私だったからだ。


「あのさ、返事なんだけど……」
「え、今?」
「ううん。期限を設けてほしいなって。」
「じゃあACのプレゼンの日、ご飯行こうよ。そこで聞かせて。」
「うん。」


やっぱりあれこれ考えすぎてズルズルと長引かせてしまうのはお互いに良くない。
期限はプレゼンの日……来週の水曜日の夜。それまでには絶対答えを出そう。





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