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11

 
「あ!」
「あ……」


会社帰りいつものコンビニで木兎さんと遭遇した。
木兎さんは会社員として働きながらプロのバレー選手として活動していて、練習場所がこの近くだと言ってた。


「この前はありがとうございました。」
「おう、楽しかったなー!」


木兎さんと会うのはこの前のお食事ぶりだ。
あの感じだと黒尾さんは赤葦くんの気持ちに気付いていた。木兎さんは……直接の先輩だし、赤葦くんから何か聞いてるかな。


「ちゃんと帰れた?赤葦に喰われてない?」
「!?」
「あれ、図星?」
「く、喰われてません!」
「あははごめんって。……でも何かあったって感じ?」
「……」


ついムキになって過剰に反応してしまった。
この様子だと赤葦くんからは何も聞いてないみたいだ。


「よーし、ここは先輩が相談に乗ってやろう!アイス奢ってあげる!」
「……はい。」


思考がぐちゃぐちゃな今の私にとって、木兎さんの無垢な笑顔は救いとなった。



+++



「あの、木兎さんは知ってました?赤葦くんが私のこと好きだって……」
「全然!赤葦顔に出ねーんだもん!」


奢ってもらったアイスを食べながら公園のベンチに座る。
赤葦くんには根に持たれていたけど、正直赤葦くんはわかりにくいと思う。あまり表情変わらないし、爆笑したり本気で怒ってるところを見たことがない。何事にも動じず落ち着いていて、私を好きな素振りなんて全然出てなかった。
昔からの付き合いの木兎さんでもわからなかったんだったらしょうがないと、自分を納得させた。


「あの後黒尾にそういうことだから邪魔すんなって言われてさー。そんなの言ってくれなきゃわかんねーよなァ!?」
「私も、全然気付かなくて……」
「ってことは告白されたんだ?」
「はい……。」
「返事は?」
「まだです。」
「ふーん。」


そんな赤葦くんが私のことを好きだと言った時の表情は今でも覚えている。見たことのない表情で、愛情がしっかり伝わってきた。


「赤葦くんとはずっと会社の同期として仲良くしてもらってて、気持ちの切り替えが出来ないというか……答えを出せる気がしなくて……」
「赤葦とチューするの嫌じゃない?」
「!?」


木兎さんの言葉にギクっとした。
落ち着け、例え話だ。木兎さんに赤葦くんの家に泊まってしまったことは話したけどキスをされたことは話していない。


「チューするの嫌じゃなければ付き合えばいいじゃん。」
「そんな理由……」
「えー。結構大事だと思うよ?」


確かにキスの相性は大事だって言う。赤葦くんとのキスは嫌ではなかったけど、不意打ちだったし吃驚したのが大きかった。


「まあ、赤葦の先輩として言われてもらうと赤葦はいい奴だからさ、安心していいよ!」
「……はい。話聞いてくれてありがとうございました。」
「いーのいーの!赤葦の同期ってことは俺の後輩みたいなもんだからな!」


こんなこと会社の人には言えないし、木兎さんに相談して少しスッキリした。
木兎さんの言う通り赤葦くんはいい人だ。そんな人が私のことを好きだと言ってくれてるんだから、真剣に考えなきゃいけない。





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