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07

 
「いやー、まさか木兎とも知り合いだったとは。」


その日の夜、問題なく定時で仕事を終えて黒尾さん、木兎さんと合流した。


「コンビニで運命的な出会いをしちゃったんだよ!ねっ!」
「へー?運命的な出会いねえ。」
「別に運命的じゃないと思いますけど。」
「まさか赤葦の友達だったとはな!」


木兎さんと黒尾さんも仲が良さそうだ。
よくよく考えてみれば高校の時の部活の仲間……しかも他校の人と、今でも交友関係が続いてるって素晴らしいことだなぁ。


「帰りたくなったら言って。」
「大丈夫だよ、ありがとう。」


漫才みたいな2人のやりとりを眺めていたら隣に座る赤葦くんに小声で言われた。優しいな。



+++



「どーするもう一軒行っちゃう!?」
「遠慮します。」


飲み会はすごく楽しかった。
黒尾さんとはお酒の好みもおつまみの好みも同じで話が合ったし、木兎さんの止まらないお喋りは聞いてて飽きなかった。何言ってるかよくわからない時もあるけど。
その中で赤葦くんはいつもと同じテンションを貫いてて、赤葦くんの落ち着きっぷりは昔からだったのかと思った。
赤葦くんの自然な笑顔を引き出せる木兎さんと黒尾さんは、赤葦くんにとって大切な人なんだろう。


「黒尾さん、木兎さんをよろしくお願いします。」
「あーはいはい。俺は木兎のお守り役で呼ばれたわけね。」


木兎さんは早いペースでお酒を飲み続けて、帰り際には若干目が据わっていた。黒尾さんも結構飲んでたはずなのに全然平気そうだ。
足取りが覚束ない木兎さんは黒尾さんが引き受けてくれることになった。


「じゃ、明日もお仕事頑張りましょー。」
「はーい。」


明日も仕事ということで今日は21時前にお開き。2人とは乗る路線が違うから駅まで送って別れることになった。


「あー、楽しかったー。」
「……そう。」


2人と別れた後の赤葦くんは、ほろ酔いでいい気分な私とは温度差があるように思えた。


「赤葦くん……楽しくなかった?今日テンション低くない?」
「……酒が足りないのかも。二軒目行かない?」
「えっ……」


まさか二軒目のお誘いがあるとは。しかも黒尾さん達と別れた後で。
仲良さそうには見えたけど部活の先輩だったから、体育会的な上下関係が根強くて気持ちよくお酒が飲めなかったのかな。
自分ばかり楽しんで赤葦くんのこと考えてあげられなかった。赤葦くんが飲み足りないって言うんだったら付き合ってあげたいと思う。


「うん、付き合うよ。」
「……」


私は赤葦くんと2人で二軒目に行くことにした。



+++



「なんかいい感じのとこだね。」
「得意先の人に教えてもらった。」
「へー。」


赤葦くんが連れてきてくれたのはカウンターがあるようないい雰囲気のバーだった。
そこまでお客さんの数は多くない。30代くらいのカップルが一組と、スーツを来た男の人が3人、一人で飲んでる人もいて落ち着いた雰囲気だ。私にとっては慣れない場所でついキョロキョロしてしまう。こんなところで赤葦くんと2人でいるの、変な感じがする。


「名字さん、あまり酔わないよね。」
「顔に出ないんだよね。あと2杯飲んだらやばいかも。」
「……ふーん。」


それに比べて赤葦くんはこの落ち着きっぷりである。本当に私と同い年なのかな、この人。
なんか場所のせいもあっていつもよりかっこよく見えるというか、色気があるというか。会社の先輩達がこぞって「赤葦くんイイ」という理由がわかった気がした。


「これ美味しいよ。」
「あ、ほんとだ!」


いいお店教えてもらっちゃったな。いつかこういうお店に一人で入れる大人な女性になりたいものだ。




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