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07

 
"看病してくれたお礼に次の土曜日は宮くんのリクエストにお応えします!"


翌日、風邪が治った名字さんから連絡が入っていた。マジか。俺がリクエストしてええんか。そんなんめっちゃ迷うやんか。
迷いに迷って前日に中華料理というジャンルだけリクエストしたら、じゃあこれを作ると回鍋肉やら餃子やら料理名を教えてくれた。
お陰で今日の部活終わりはいつも以上に腹ペコや。メニューがわかってるからか余計に食欲が刺激されとる気がする。俺の腹は中華料理を消化する気満々や。自然と家へ帰る足が速くなった。


『今日泊めて!』
「……」


急いどる時に侑から電話がきて渋々出たら自分勝手なことを一方的に言ってきよった。急すぎるわ。しかも、何でよりによって今日やねん。今日は名字さんの手料理が食える日なのに。


「おっ、来た来た!」
「……」


断ろうとしたのにもう既にマンションの前にいやがった。ほんま腹立つ。


「おい、めっちゃええ匂いする!今日は中華やで!」
「知っとるわ。」
「え?」



+++



「なんかごめんなー、俺までご馳走になってまって!めっちゃうまい!」
「ううん、まさか宮くんが双子だったとは……」
「何やねん治言うてなかったんか。」
「アホな片割れおるって知られたないやんか。」
「おおん!?」


結局侑も一緒に名字さんの手料理をご馳走してもらうことになった。俺のために作ってくれたもんなのに。我が物顔でパクパク食う侑を見ると腹が立った。お前のせいで俺が食う分減ってんねんぞ。


「こいつ何でも幸せそうに食うやろー。冷めた飯でも硬なったパンでも美味い言うねんで。」
「喧しいわ。」
「そ、そうなんだ……。」


そんなん言うたら名字さんのめしも冷めた飯も変わらんみたいやんか、余計なこと言うなや。心なしか名字さんは微妙な表情や。何てフォローしたらええんやろか。


「……名字さんの飯食うようになってから、俺グルメになってまったかも。」
「!」


正直今までめしは食えるだけで幸せやった。それが冷めた飯でも硬いパンでも腹が満たされるだけで満足やった。
けど名字さんがめしを作ってくれるようになって、この味付け好きやなあとか今日は和食がええなとか、食に対して前よりこだわりを持つようになったとは思う。
今の俺のフォローは正しかったんやろか。名字さんの反応を確かめたら頬を染めて照れていた。
……かわええな。





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