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01

 
東京の大学に進学し一人暮らしを始めてもう2年が経った。
一人暮らしはめちゃくちゃ自由や。夜中にカップラーメンを食うてもええし、取っておいたプリンを横取りされることもない。
一方で何もかもが自己責任でもある。そこら辺に服を脱ぎ散らかしても片付けるのは自分やし、トイレ掃除も風呂掃除もやってくれる人はおらん。
最初こそ親のありがたさを痛感して実家を恋しくも思ったけど、結局は一人暮らしは快適やって結論に至った。そんなもんや。


"ついた!カレー食い行こうや。"
「おー。」


今日はこっちの方で練習試合があるから飯一緒に食おうということになった。なんだかんだ1ヵ月ぶりや。
侑も同様に東京に来たけどここから電車で30分くらいの所で一人暮らしをしとる。親に「どっちも東京なら一緒に住んだらええやん」って言われたけど2人して断固拒否した。大学生になってまで同じ部屋とか流石に嫌やわ。
財布と携帯と鍵だけ持って家を出ると、侑がカレーを指定してきた理由がわかった。


「ええ匂い……」


お隣さんからカレーのええ匂いが漂ってきた。こんなん嗅がされたらカレー食いたなってまうよなあ。もうすっかりカレーの腹になったわ。
去年の夏くらいまでお隣さんは眼鏡のおっさんやったけどいつの間にか引っ越してて、今年の春からまた新しい人が引っ越してきた。
夕方に帰るとこうやってええ匂いがしてくるから部活終わりの空きっ腹にはたまらん。姿を見たことはないけど勝手に女の人やと想像してる。


「俺もカレー食いたなったわ。」
「なー!めっちゃええ匂いするなー!」
「声デカいわ。」


テンション上がるのはわかるけどもう少し声抑えろや。お隣さんに聞こえてまったら気まずいやんか。



+++


数日後。午前中から社会人チームと練習試合をたっぷりやってヘトヘトな身体で家に帰った。
明日までに提出せなあかんレポートあるのに。まあ余裕持ってやらんかった俺が悪いんやけど。飯も食わなあかんしシャワーも浴びなあかんしめちゃくちゃ眠たい。こういう時おかんがいてくれたらええなと思う。


「……」


俺の部屋は202やから、エントランスから入ると隣の201の前を通ることになる。
今日もめっちゃええ匂いがする……にんにくの匂いや。メニューはわからんけど今の俺の疲れ切った体に効くやろなあ。


「君の〜♪頬を〜♪」


キッチンの小窓が開いとるから鼻歌が丸聞こえや。最近CMでよく耳にする流行りの歌を歌うのは若い女の人の声やった。
そういえばうちのおかんもよく料理しながら歌っとったな。


「フンフンフーン♪」


何でサビの一番ええとこの歌詞覚えとらんねん。
心の中でツッコミを入れて、一人で笑てまった。心なしかさっきまで感じてた疲労感が少し軽くなったような気がする。
……とりあえず飯食って、まずはレポートからひとつずつ片づけてくか。





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