after1
治と名字が付き合うことになったらしい。なんだ結局そういう感じだったわけね。
ふざけて「巨乳だったから?」って聞いたら「違う」と即答された。「ごめん」と謝る前に治は「でかいに越したことはないけど」と続けた。うん、お前のそういうところ嫌いじゃないよ。
「あっ治先輩!今日ネット、ピンて張れました!」
恋人同士になっても名字の態度は基本的に前と変わらない。
大してすごくもないことをいちいち報告して治が褒めてくれるのを要求する。
「……ん。」
「!?」
……けど、変わったのは治の態度だ。
頭を撫でてほしいと擦り寄ってくる名字を治は抱きしめた。
「ああああかーん!」
「何でやねん。付き合うてるんやからええやん。」
「ダ、ダメです!」
今まで一方通行だった好意が何倍にもなって返ってくることに名字はついていけてないようだ。顔を真っ赤にして治の腕の中から逃れた。
「い、いいですか!?私は治先輩に頭撫でてもらうとめっちゃ嬉しいんです!」
「おん。」
「けど最近は治先輩に触られると嬉しいって気持ちと、好きって気持ちがごちゃ混ぜになって……ふにゃふにゃになってまうんです!」
「……」
名字は必死なのかもしれないけど……大声でのろけてることわかってんのかな。要は好きすぎてパンクしちゃうってことでしょ?
それを聞いて治がむらっとしたのがわかった。名字からも好き好きオーラが抑えきれてない。完全2人の世界だ。ここ体育館なんですけど。
「そこの2人ー、発情すんなら人いないとこでしいやー。」
「「!」」
ほんとそれ。
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