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after3


 
侑と付き合うことになって1ヵ月くらいが経ったけど、まだまだ私の気持ちはふわふわしていた。男の人と初めて付き合う私を、侑はちゃんとリードしてくれてると思う。その姿を見てまたかっこええなあと思って、好きやなあと思う。あの時勇気を出して本当に良かった。

「帰るでー」

最近はみんなと一緒に駅まで歩いて帰ることが多くなった。最初はぞろぞろと固まって歩いていても、コンビニから出た後はいつの間にか侑とふたりだけになっている。多分みんな、気を遣ってくれてるんだと思う。

「コンポタ味どう?」
「おん、結構コンポタ。食べます?」
「うん」

侑がコンビニで買ったかりゃあげくんのコンポタ味を覗き込むと、爪楊枝にひとつ刺して私の口元に持ってきてくれた。間接キスって程でもないけど侑が使ってた爪楊枝を意識してしまって、治の時みたいに大口を開けられなかった。

「どう?」
「うん、コンポタやね」
「やろー?」

そんなことばかり考えていたら感想言うの忘れてた。侑の隣を歩いてるだけで幸せだなんて、能天気すぎるやろか。

「ゆきさん何味が好き?」
「……やっぱ普通のが一番やね」
「それわかります!」

友達からは付き合うても今までとそんな変わらんなあって言われたけどそうでもない。侑は私を部活の先輩じゃなくて彼女として扱ってくれている。一番わかりやすい変化は、タメ口が増えたこと。まだ完全には敬語が抜けきらないみたいやけど、意識してくれてるってだけですごく嬉しい。

「え、何笑てんすか?」
「……ううん。敬語抜け切らないのが、かわええなって思って」
「!」

自分でも気づかないうちに笑ってたみたいや。正直に考えてたことを伝えたら侑の顔が赤くなった。かわええ。

「彼女に敬語なんておかしいからタメ口にせなって思っとるんやけど……」
「うん」
「……急にはむずい」
「うん。少しずつでええよ」

1年間ずっと敬語を遣ってきたから変えにくいっていう気持ちはよくわかる。でもやっぱり、もっとフランクに話してほしい。その方が距離が近い感じがするから。

「あと、もう一個頑張ってほしいことがあるんやけど……」
「何?」

この流れで、もうひとつワガママ言ってええやろか。困らせてしまうかもしれないけど、もう伝えないで後悔するのは嫌や。

「呼び捨てにしてほしい」
「!」

彼女にタメ口がおかしいと言うんだったら、さん付けで呼ぶのも変な感じがすると思う。せっかく大好きな人が名前を呼んでくれるなら"さん"なんて付けなくていい。

「じ、時間をください……!」
「うん」

どれだけ時間がかかってもええ。こうやって慣れるまでの時間も、大切にしたいな。



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