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after1


 
「というわけで、付き合うことになったから」
「お、お騒がせしました……」

俺とさよりちゃんの交際が成立してすぐに岩ちゃん達には報告をした。いろいろ迷惑かけちゃったし、部内恋愛だし、オープンにしておきたかったから。

「さよりちゃん本当に良かったの?考え直してもいいんだよ?」
「何でそういうこと言うのマッキー!」
「及川結構束縛するタイプだよ」
「まっつんまで!」
「変なことされたらすぐ俺に言え。殴ってやるから」
「岩ちゃん!?」

なんか思ってたのと違う。部長とマネージャーが付き合うことになったんだから、もっと祝ってくれてもいいじゃん。特に3人は自覚してからの俺の苦労を知ってるわけだし。ようやくさよりちゃんと付き合えて浮かれている俺に水を差さないでほしい。

「まあ良かったんじゃない?うじうじ及川は見てらんなかったし」
「女々しくてうざかった」
「ちょっと!!」

俺がうじうじしてたとか女々しかったとか、さよりちゃんの前で言わないでよ、かっこ悪いじゃんか。付き合ってすぐに幻滅されたらどうしてくれるんだ。

「それなら古賀だってすげーうじうじしてましたよ」
「!」
「めちゃくちゃ恋する乙女でした」
「ちょっと!矢巾くん!」

意地悪い顔で暴露する矢巾に対して赤面して怒るさよりちゃんの可愛いことよ。まあ盗み聞きしちゃったから、さよりちゃんが俺の告白に対してどう悩んでるかは知っていたけどね。

「えー何それ?」
「真っ赤になっちゃってかわいー」
「か、勘弁してください……」

どうしよう、さよりちゃんがますます可愛く見える。告白した時にハグをおあずけされたからか、イチャつきたいフラストレーションが溜まってしまってヤバい。今周りに人がいなかったら問答無用で抱きしめてる。早くふたりきりになりたい。

「そういう反応は及川さんがムラムラするので控えた方が良いですよ」
「!」

何てことを言うんだ国見ちゃん。実際ムラムラしてるから仰る通りなんだけれども。

「わ、わかった……!」

いや、さよりちゃんもわからないでよ。彼氏の前で控える必要ないでしょ。思う存分ムラムラさせればいいじゃん。

「国見くんも、いろいろ話聞いてくれてありがとう」
「別に俺は何も」

矢巾にだけじゃなくて国見ちゃんにも相談してたのか。それだけ真剣に考えてくれてたんだと思うと嬉しい。

「OKした瞬間手ェ出されたりしてませんか?」
「だ、大丈夫だよ。……ギリギリ」
「は!?」
「えー何それ及川サイテー」
「サイテー!」

まるで現場を見ていたかのような口振りが引っかかった。もしかして告白の時にさよりちゃんが言っていた「手ェ出すの早い」っていう前情報の提供者は国見ちゃんなんじゃないだろうか。

「もしかしてさよりちゃんに変なこと吹きこんだのって国見ちゃん?」
「……そう簡単に手を出されたくなかったので」
「!?」
「国見くん……!」

普段クールなくせにここにきてデレるとかやめてくれる国見ちゃん。さよりちゃんも彼氏差し置いてキュンとしないでよ。
ドキドキワクワクなはずの交際初日。結局帰りはいつも通りみんなで帰ったし、手を繋ぐとかハグとか恋人らしいことは一切出来なかった。



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