小屋を出て適当に走り出したのはいいが、
この小さい体に、慣れずに先ほどから何もない所でこけてばかりだ。

お腹にもジワリと血が滲んでいる


『、っふぅ』


それを見て不安でジワリと涙が出る。

不安で不安で仕方がない、
もしかしてこれは夢じゃないのかと思いもしたが
それをお腹の痛みが夢ではないと証明してしまう。


ポロリと流れてきた涙を手で拭い

また当てもなく歩きだす。


すると、近くの茂みがガサリとなる。

あの男達が追ってきたのかと慌てて逃げようとすると

前方の茂みからもガサリとと音がして、動きを止める

すると、私のまわりの茂みが全てガサガサとなり

そこから、沢山の犬が出てくる。


『い、犬…?』


っほ、とするものの、犬の様子がおかしい。

目は血走っていて、息はフゥフゥフゥと荒い
口からはだらりと舌と涎が垂れている。


そして、私にジリジリと近づいてくる。



それで、この犬たちが私を食べるつもりだと気付く
その瞬間、体がっす、と寒くなる。

元の体でも、これだけの犬は相手にできないのにこの体じゃ…

自分の小さくなった体を見て絶望する。



恐い、恐い恐い恐い恐い。
死という文字が頭をよぎる。


っ家に帰りたいっお母さんっお父さん。


涙は止めどなく流れて、諦めたように目を閉じた
すると、犬のキャインという鳴き声が聞こえた。
何事かと俯いていた顔を上に上げる。


そこにいたのは、先ほど小屋にいた青年だった。


「みっけたよ!」


ニコリと私と同じ背丈までしゃがんで笑う青年に警戒するのを忘れてつられて笑った。





あなたを待ってたの。


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