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あれから、船を下りてただ今城です。
女中さんに着替えさせられて綺麗な着物をまとい殿様の前です。
よく日に焼けたカッコイイ人だ。
そして、この人にも私と同じ位の子供がいるらしく早速遊んでやって欲しいと頼まれた。
私は、いつのまにかこのポジションで落ち着いたな。
まぁ、同年代の子がいるならありがたいと大きく頷くと私一人部屋から出て女中さんに連れられてついた部屋、ここにいるらしい。
それだけ告げるとそそくさといなくなってしまう女中さん。
え?私一人っすか…?
しょうがないと、腹をくくって襖の外から中に声をかける。
『すみません。』
中から、ビクついたような気配を感じる。
確かに、中に人がいるようだ。
「だ、誰?」
その怯えた声は、どこか聞いた事のある声で頭を傾げるも、まぁ今はいいかと頭の隅におしやる。
ゆっくりと中の気配が私のいる襖の前に来たのがわかる。
『私、この度城主、国親様に招かれた山賊狩りの一味の一人名前でございます。』
そう言えば、襖がっそと開き大きくて綺麗な1つの瞳が怯えたようにこちらをのぞく。
そして、私を見た瞬間に只でさえ大きな瞳を零れ落ちそうな程大きく開く。
それに、首を傾げつつ言葉を待つ。
すると行き成り、襖が大きく開かれて中に引っ張り込まれる。
私が訳も分からず、目を白黒させていると、目に飛び込んできたのは潤んだ大きな瞳。
よくわからず、それをっじと見ていると強く体が抱きしめられた。
『え!?え!?な、何ですか!?』
あつい抱擁に意識が戻るとそこにあるのは、私の胸に顔を埋める銀髪。
ギューと、抱きしめられて苦しいぐらいだ。
そして、そのフワフワな銀髪は私の見覚えのあるものだった。
『……やーちゃん?』
もしかしてと、声をかけるとビクリと反応を示す。
そして、ゆっくりと顔を上げた銀髪は思った通り私の知る銀髪だった。
『っわ、やっぱりやーちゃんだ!』
そう言って、私に抱きついているやーちゃんに私も抱きしめ返す。
だけど、私の頭に浮上する謎。
あれ?でもやーちゃんって商人の子では…?
でも、女中さんはここに国親様の御子がいるって言ってたよね?
じゃぁ、やーちゃんは姫様?
いや、でもこの前姫様ではないって言ってたよね?
『ねぇ、やーちゃんってやっぱり姫様?』
そう問えば、ビクリと体を揺らして私からっそと離れるや―ちゃん。
「そ、それは…あの、わ、わたし…」
『?』
私が首を傾げると意を決したように口を開くやーちゃん。
「名前ごめんなさい!わ、私は、女子ではなく…男子なのです…!」
そう言って、涙をまたポロリと流すやーちゃん。
は?え?女じゃない?男?え?
私は急展開についてけず首を傾げたままフリーズした。
パードゥン?
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