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『さぁ、寄ってらしゃい見てらっしゃい!!!』


ただ今、サブが人間ビックリショーなうだ。

そして、私は呼子として、大声を張り上げている。

こういう大きな市では、結構お金持ちの方々もやって来るので小遣い稼ぎにはぴったりなのだ。


そして、結構お金が貯まると撤退。


重弥さん達にそのお金の6割を渡して後の4割は私たちのお小遣いだ。

大抵は、甘味代で終わるのだが、今日はいつもよりお金が多い。

流石、大きな市だなぁ。


まぁサブは何時もどおり甘味を買っていたけど、私は別の物を買おう。


「ん〜名前ちゃんも女の子なんだねぇ。」


今いるのは、綺麗なブレスレットのようなものをひろげる市の一角。

サブは興味なさ気にそれらを見る
その手には大量の甘味がぶら下げられている。

全部、甘味に使ったのだ。

そして、私はというとずっとここで、うんうんと唸っている。


『ねぇ、どっちがいいと思う?』
「どっちも一緒じゃないの?」


サブは、女心を全くわかってないな。


はぁ、と溜息をついてまた品物に視線を向ける。

私が迷っているのは、佐和さんとお揃いの物についてだ。

私の分は直に決まった。

だけど、佐和さんのが中々きまらない。

1つは私の選らんだ物の少し桃色のような、紫のような、色の石のついた物で

もう1つは、まさに佐和さんだっ!!というような石のついた私とお揃いでないが綺麗なブレスレット


できれば、お揃いがいい……だけど、佐和さんにはこっちの方が似合う……


うんうんと唸っていると、商人のおじさんが口を開く


「お嬢ちゃん、いっその事三つとも買ったらどうだ?」


マケとくぞ、という言葉に値段を聞けば。

私の財布でも買えるようなお値段で、直に購入した。


『おじさん、ありがとー!!』


良い買い物をしたとホクホクしていると
やっと終わったのかとサブが立ち上がって
一緒に海に行こうと言い、それに私は大きく頷いた。


海につくと早速、水に足をつけてッキャッキャと遊ぶ。

さながらそれは、恋人のように。

まぁ、年の差からしてサブはロリコン決定だな。

いや、でもこの時代だとおかしくないのか…恐るべし戦国時代。


しばらく、遊ぶとサブは疲れたのか砂浜に体を大の字にして寝ころぶ。


『サブー』
「あ〜もう駄目俺力尽きたっ!名前ちゃん一人で遊んでてっ」


そう言って、目をつぶって昼寝体制になってしまったサブに口を尖らせつつ

一人砂浜をあてもなく歩く。


手には、あの綺麗なブレスレットを握って太陽にキラキラ反射させる。

う〜ん、三つとも買ったのは良いけど、結局佐和さんにはどちらをあげよう…

しばらく歩いているとブレスレットとは別の何か光る物が岩陰から見えた。


何かお宝か?とふざけながら岩陰に駆け寄り覗き込む


『うわぁ、綺麗。』


思わずでた声は仕方がないと思う。

だって、すごく綺麗だったから。


「だ、誰ですか!!」


すると、声が聞こえてたのか私を慌てて見る綺麗な子。


『そっち、行ってもいい?』


とりあえず、そっちに行ってもいいだろうかと尋ねればキョトンとした顔をするその子。


「え、えぇ。」


戸惑ったように頷くその子に私は喜々としながら近寄る。


綺麗だ、綺麗。

フワフワ潮風に揺られる髪にどうしても視線が向いてしまう。


『私は、名前。あなたは?』


少し、図々しいかもしれないが名前を尋ねると小さな声で「……弥三郎」と答えてくれた弥三郎ちゃん。

名前は男らしいがこれも戦国時代ならではなのか…?

だけどすんばらしい、美少女だ。



今まで、女の子の友達ができなかった私としては、是非この弥三郎ちゃんと友達になりたい。


「あ、あ、名前様は、私が怖くないのですか…?」


大きい目が潤んでるよっかんわいいっ!!!


怖いなんてとんでもないと、勢いよく首を横に振る。


「でも私は、髪だってこんなのだし、目だって…」


そう言って自分の髪と左目に触れる弥三郎ちゃん。

きっと、髪や目の事で今まで色々言われてきたのだろう。

だけど、私には弥三郎ちゃんと出会う前に佐吉様という銀髪代表もいるし。

左目もきっと、何かあるんだろうけど特に気にする事ではない。


その事を伝えれば嬉しそうな安心したように破顔させる弥三郎ちゃん。


本当、この子何処かの姫様じゃないの!と思う位かわいい。


いや、でも本当に姫様な可能性もあるぞ、話方だって上品だし……


恐る恐る、何処かの姫様なのか聞けば首を振って父様の商いに付いて来たと答える弥三郎ちゃん。

大きな商人とこの娘さんか、慌てて今までの失礼を詫びればそのままでいいとのこと。

よかった、よかった。

その後、色々話して、結局迷っていた佐和さんへの贈り物の私とお揃いの方を弥三郎ちゃんにあげた。

明日、帰っちゃうみたいだったからね。

何か、こういうの女友達同士のお揃い〜って感じでいいよね。


この短時間で私たちは相当仲良くなれた気がする。

呼び方なんて、弥三郎は長いのでやーちゃんとあだ名で呼ぶようになったし

別れ際なんて、私が旅をしていると言っていたので、もう会えんないとやーちゃんが泣いてくれた。

実に嬉しい、私もつられて泣いてしまった。

だって、女の子の友達って初めてなんだよ!!

行く村々では、皆山賊狩りの1人だからって怖がられるしっ

私ら、山賊を狩る良い者なのにっ!!





姫だけど、姫じゃない


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