少しの距離くらいどうってことない





薄いレースのカーテンから、明るい月が見えた。
たったそれだけのことで、何だか嬉しくて仕方がなくて。
愛しい恋人へと、急いでメールを打つ。
送信してから、わくわくと返信を待っていると図ったように鳴り出す着信音。
ディスプレイを見なくてもそれが誰かわかって、急いで電話に出る。

「こんばんは、銀時」

うわ、出るの早ぇな。
電波を通して流れてくる聞き慣れた声に頬が緩む。
相変わらず口は悪いけれど、愛情を持って話してくれていることは知っているから、むしろ嬉しいくらいだ。

「ねぇ、外見てみて」

月が綺麗だし、月味酒でもしようか。──寒いっつの。
電話の向こうでも月を見ているのか、楽しそうな声が聞こえる。

「神楽ちゃんも新八くんも元気そう?」

いつも彼といる2人の名を出すと、今度は2人の声が響いて。
早く会いたいなあ、小さく呟くと、優しい声が意外なことを言った。




─少しの距離くらいどうってことない─

(さて、銀さんたちは、今どこにいるでしょうか)
(万事屋でしょ?変な問題)
(答えは、車の中でーす。総一郎に送ってもらってるから、もうすぐだわ)
(真撰組の人に無理言わないでよ!)


2010.03.31
緋彩さまへ!
キリリクです。


[ 31/79 ]

[*prev] [next#]



「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -