望が何かを決心してから少し経って龍斗が風呂から上がってきた。
 
真剣な表情をした望に龍斗は不思議そうな顔をする。
 
 
「ん?どうしたんだ?」
 
「あのな、俺な、その…お前のこと好き…なんだけど…」
 
 
不安そうに見つめる望に龍斗は言葉をつまらせる。
 
 
「…………………おま、」
 
「ばあああああか!嘘だっての!真剣に考えてやんの!エイプリルフールだよばーか!」
 
「…こりゃ一枚食わされたなあ。」
 
 
馬鹿にしたように笑う望に龍斗は苦い表情を浮かべた。
だから少し寂しそうな表情をした望には気付かなかったのである。
 
 
「馬鹿な事してないで寝るぞ。急だからベッドが一つしか無いんだがな。」
 
「は?一緒に寝るのか!?」
 
「しょうがないだろう。」
 
「べ、別にいいけど!」
 
 
かくして二人は同じベッドで寝ることになったのであった。
 
 
 
 
 
 
 
 
それから数時間、龍斗は望に背を向けて眠りに入っていた。
望はまだ目を開けていて、龍斗の背中をジッ、と見つめている。
 
 
「……本当は好きだよ、ばーか。」
 
 
そう言いながら鼻をすすった望は、ベッドから出ようとする。
しかし何かに阻まれてそれは叶わなかった。
 
 
「…何処行くんだ、おチビちゃん。」
 
「と、トイレだよ!トイレ!」
 
 
阻まれた原因に目を向けると、龍斗が望の手を掴んでいた。
 
 
「顔をこっちに向けて言え。それにさっきのは、」
 
「だからエイプリルフールだって!」
 
「もう日付は変わったが。」
 
 
龍斗がそう言うと、望は手を振りほどこうと暴れた。
 
 
「離せよ!離せって!」
 
「離さない。」
 
 
龍斗は反対の手を含めて一まとめにし、望をベッドに押し付けた。
 
 
「離せば逃げるだろう。…泣いてるじゃないか。どうして逃げるんだ、逃げる必要は無いだろう。」
 
「うるさいうるさい!好きなんだよ!お前が!でもお前は俺の事嫌いだろ!迷惑だろ!迷惑なら離せよぉ…!」
 
「…はぁ、馬鹿め。」
 
 
龍斗の言葉に望の体が跳ねる。
次に言われるだろう言葉に怯え、目をキツくつぶった。
 
 
「俺が何時嫌いだと言った?早とちりはお前の悪い癖だ、望。」
 
「…ほらやっぱり嫌いなんだろ、って、え?」
 
「やっと自覚したようだな。どれくらい待ったと思ってるんだ。焦らすのが上手いな、望は。」
 
「え?え?」
 
 
厳しい表情から一変して優しく微笑んだ龍斗に、望は混乱しているようだ。
 
 
「ようやく言ったな。好きだ望、いや愛してる。」
 
「うそ…」
 
「エイプリルフールはもう終わった。もうそろそろ幸せになろうな。」
 
「…うん。」
 
 
そうして二人は月の光が差し込むベッドの上で口付けを交わすのだった。
 
 
 
 


 
 
完 結 し た !
ちょっと長くなったけど^^
 
このカップルはたくさんの皆さんに応援して頂きました!
 
完結しましたがまた需要があれば続編書くかもです(^O^)






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