翌朝少し腫れた目を冷やしてから大学に向かった。
お昼時になり食堂で幼なじみと昼食をとっているとめったに食堂に来ない彼が入ってきた。
珍しいこともあるんだな、と思いながらそのまま食事を続けているとなんとなく彼が近づく気配がした。
「ちょっといいか?」
ぽんっと肩に手を置かれ、そう声を掛けられた。
周りの視線が、痛い。
彼は何故か幼なじみを睨んでいた。
疑問符を頭に浮かべながら食器を片付け視線から逃げるように空き教室に入った。
捕まれた手が痛くて、熱い。
「お前、一昨日パーティーに居たよな?」
「パーティーって何のですか?」
隠し通さなければ。
バレたら気持ち悪るがられるだけだ。
俺の一日だけのシンデレラ物語はもう終わったんだ。
「ちっ、しらばっくれんな。あれお前だろ。しかも今日もあの女と一緒にいたんだ、言い逃れは出来ないから。」
「ほんとに俺には何のことかわからなっ…んっ」
俺の手を勢いよく引っ張り後頭部をがっちり固定して唇から舌を差し込んできた。
「なにっ、やぁ…だ、あ、ふぅ、や…」
抵抗しても離してはくれなくて力がだんだん抜けてくる。
最後の力を振り絞って彼を突き飛ばすと彼は離れたが、俺は腰が抜けてその場に座り込んだ。
「やっぱりな。…その声、その反応、極めつけには食事の仕方。お前しか居ないんだよ。」
一生懸命に呼吸を整えていると、彼が抱き上げるように俺を立たせ、言った。
「男とわかってもお前が好きだ。お前はからかっていただけなのか?」
「いやっ、違っ…!でも、俺貧乏…だし、釣り合わないか、ら…」
彼の二度目の告白に驚きながらも言葉を返すと、きつく抱き締めてきた。
「そんなものは関係ない。どうにだってなる。お前の気持ちが聞きたい…。」
耳元でそう彼が囁く。
ひとりでに涙が溢れてきた。
「…俺、もっ、好きっ…」
ガラスの靴はなかったけど、彼は俺を見つけてくれた。
きっと俺は世界で一番幸せ者。
「で、あの女とはどういう関係なんだ?」
「え、兄弟のような…幼なじみですけど…。」
「敬語やめろ。ずっと一緒に居るから彼女かと思った。これからは俺と行動しろよ。」
「あ、うん。ていうか口調違くない?」
「女を落とすにはあの口調が一番だろ。素はこっちだ。」
「…」
王子様は性格に難有りみたいです。
勝手に童話シリーズ!第2段!
またしても一切名前が出て来ない^^
まあいいか
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