閉じ込めたいほどに




「昨日部活の後友達が変なこと言って、」



それは何気なく過ごしているときだったりする


君は突然前日あったことなどを思い出して話し出す







いいな―・・・







その話を聞く度いつも思う




俺も栄口と同じ高校に通いたかった



俺は高校での栄口を知らない



どんな話をしてどんな笑顔を見せているのかさえもわからない



わかるのは楽しいんだということだけ






「栄口と同じ学校で過ごしてみたかった」



そういうと栄口は先程までの話を中断させ体育座りになって顔を自分の膝に埋めてしまった




「俺は・・・」




小さな声を聞き取ろうと耳を近づける















「俺は慎吾さんと同じ年に生まれたかった」
















その声はなんだかとても寂しそうで・・



「栄口・・・」


「歳の差が辛い」



「俺も学校での栄口を知れなくて辛い・・」




栄口の埋まっている顔を無理矢理あげさせ見つめ合った





「俺が学校に行かないでって言ったら行かないでくれる?」




見つめ合ったまま言うと栄口は困った顔をした



「・・・嘘だよ、冗談」


苦笑いをすると栄口は下を向いた


「嘘じゃ・・・ないですよね」



その言葉に何だか泣きそうになって栄口のことをぎゅっと抱き締めた



「本当は・・・本当は、閉じ込めたい、閉じ込めて何処にも行けないようにしたいよ・・俺だけの物にしたい」



栄口の肩に顔を埋めた


自分の声がどんどん小さくなっていくのがわかった




「だけど無理じゃん・・・」




栄口は俺の背中に手を回すと慰めるように撫でてくれた





「俺は慎吾さんだけの物ですよ?俺はずっとそう思ってましたが・・・違うんですか?」



顔をあげると哀しそうな瞳と目が合った



「違く無い」




抱き締める力を強くすると栄口も回していた手に力を込めた




「好きですよ・・・慎吾さん」


「俺も・・大好き・・・」






閉じ込めたいほどに君を愛してる




誰にも渡したくない







君を独占させて



*end*



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