もう少しと望んでしまうのは、




「今日は、」


「駄目」


「ですよね・・・」



慎吾さんには暇がない


そのため直ぐに家に返されるのはわかっていて勝手にやってきては落ち込む毎日



何だか迷惑になってないかとか拒否られてるのかなとか思ってしまう



「今日はもう帰って」


「はい・・・」



いつもはこんなんじゃ無いんだけどな


ネガティブな考えごとをしていたせいか返事だけじゃなくて表情まで暗くなってしまった

それに気が付いた慎吾さんが溜め息を付いた







「・・・ちょっとだけだよ?」


「ほんとに?」


自分でもわかるくらい俺は明るくなっていた


それをみて慎吾さんが笑った




「喜びすぎ」



そう言うと髪に絡められた指

そのまま後頭部を押さえられて触れるだけの口付け



何度か繰り返すうちに深くなっていくキス




「んっ・・・、」




だけどそれ以上はいかない


いけない



さっきも言った通り慎吾さんは忙しい




唇が離れるともっとしてほしいと思う気持ちをぐっと堪える





「・・・またね」


「慎吾さん・・・もう少しだけ、」


「だーめ、甘えないの」



頭を撫でた後額をデコピンするように押された



どうしてだろう


今日はなんだかすごく寂しい


今まではこんなんじゃなかったのに



「好きだからね」



「へ?」


俺は気が付けば俯いていたらしくいきなり発された言葉に驚き顔を上げた



「時間できたら呼んであげるから・・・それまで我慢して・・・俺も我慢するから、さ」






もう少しと望んでしまうのは、好きだから



今まで以上に好きだから



だから今日はこんなに、今まで以上に寂しい



「寂しいです・・」


「その寂しさ、次会う頃まで溜めといてよ」


どういう意味かわからず首を傾げると耳元で囁くように言われた



「その分愛してあげるから」



耳が熱い


耳だけじゃなくて顔も熱い


それなのに手は冷たい




「約束、ですよ」




そう言えば慎吾さんは優しく微笑んでくれた


もっと一緒にいたいとか

もっと愛されたいとか


そのもっとが増えた分だけ好きが増えていく



次会うときはどれくらい増えいるのかな


予想なんて付かないくらい貴方が好き



今よりもずっと・・・



*end*



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