桐皇学園芸能科
「あ、この前CMに出てた子に、ドラマに出てた子」
ソワソワする入学式を終えて私は自分の席に座る。友達に「やってみなよ」と言われ、アイドルオーディションを半ば強制的にやらされて、やってきた通知には合格の文字。
怖くなってきた私は即お兄ちゃんに相談した。強面のお兄ちゃんがまじまじと紙を見つめ、やってみたらどうだ?なんて変なこと言うのでタックルをかまして両親に相談。
いいんじゃないの一言で、結局デビューすることになった私は、事務所のある東京へ住むことが決り、後は学校を決めるだけになった。
そこで候補に上がったのが桐皇学園。芸能科があり、尚且つ寮もあるのですんなり決まり一安心したのをよく覚えている。
まだまだ名が知られてないだけあり、この空間に居るのは少し気まずい。誰だあいつって思ってるんだろうな……
「元気かのう…」
「アゴリラそれ何回目アルか?もう聞き飽きたヨ」
「お前、自分でやってみればっつったんだろ?」
今日は妹の入学式で、行きたいと思うが交通費がとんでもなく高く、練習を休むと荒木監督にシバかれるので仕方なく学校へ行くことにした。
あんなに騙されやすそうな妹が東京なんて言ったときはモミアゲがなくなりそうになったが、相談してきた可愛妹が少しやりたそうな顔をしてたのをワシは見逃さなかった。
「あの、その妹さんって…」
氷室が控えめに聞いてきた。最近は話の話題が妹ばっかりだから少々、いや大分気になっているのだろうか。
「アゴリラの妹アル。とっても可愛いくて全然似てない」
「そーそー」
「岡村先輩の妹さんって芸能人なんですか?」
「これからデビューするんだが心配でな…」
収拾つかなくなった。
岡村先輩はお父さん似、主さんはお母さん似でどう?
岡村先輩のシスコンにしてしまった……許せアゴリラ
いろんな意味で岡村先輩が辛いだろこれ
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