悲哀


本当は距離なんか置きたくなかった。今すぐにでも名前に会いたい。そう思えば思うほどまた人肌が恋しくなる。家に帰った僕は何も食べず、着替えずソファーで寝た。夜なんか明けなくていい朝なんかこなくていい、そう何回も何回も思っているうちにゆっくり瞼が下がる。





目が覚めてため息、白い天井を暫く眺めてゆっくり起き上がってまたため息。グラスに一杯水を飲んでシャワーを浴びる。風呂場には彼女のシャンプーが置いてあり、僕はそれをワンプッシュして手に伸ばした。使いもしないのに出すのは勿体ないとは思うものの香るシャンプーの匂いは心地いいので仕方ない。
風呂から上がるとベルモットから連絡があり、迎えに来るよう言われた。僕はタクシーじゃないと小言を言いながらも準備をし始める。僕も大概だ
愛車に乗りエンジンをかけてアクセルを踏むと元気よくRX7が答える。申し訳程度の気分転換には悪くなかった。


  
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