リクエスト作品 | ナノ






※『我慢』の続きのようになってます。が、単品でも読めますのでご安心を。




「…やっと着いたか」

甲板に立っているのは若干やつれ気味のナマエ。そんなナマエの目の前にあるのは大きな島。どうやらその島は結構栄えているらしく、人の賑わう声で溢れている。

――ここ二週間、エースのせいで食料が極限まで無くなってしまった白ひげ海賊団。本来ならば魚釣りでもすれば何とか収まったであろう話だったのだが…如何せん、その時白ひげ海賊団が通っていた海路は酷く天候が荒れていた。そのため、その海路を抜けるまでは釣りはできず、尚且つ僅かに残っていた食料のみでの生活を余儀なくされた。

その海路を過ぎたのはそれから一週間後。漸く天候も落ち着いたということで、クルー全員での釣り大会のようなものを開催し、大量に釣り上げた魚で何とかもう1週間を持たせた。
しかし、毎食魚料理は誰しもが堪(こた)えた。朝から昼を過ぎて夜になっても魚。どう調理しようが結局魚。飽きるわ!!と叫んだクルーが後を絶たたなかった。そして八つ当たりのように元凶のエースへと矛先が向かった。畜生エースめ!俺のせいかよ!?お前のせいだろ!?ぎゃんぎゃん騒ぐな喧しい!!ナマエの鉄槌が下ったのは勿論エース。自業自得だと誰かが言った。

そうして、やっと辿り着いた島。漸く魚以外の物が食えるうううう!!食料の補充じゃあああ!!等の雄叫び(?)を上げながら、クルー達(血眼のコックを含む)は意気揚々と出かけていった。

「俺も出かけるか…」

ナマエもそろそろ魚以外の物が食べたいと思っているため、島に着いて最初に行こうと考えていたのは飲食店。野菜か肉が食いたい…。ぼそりと聞こえたその声は、とても切なげだったと後にセツは語った。

「ナマエ隊長、島に降りるんでしたら一緒に行きましょう!」
「…あぁ、そういう約束だったな」

先日行われた釣り大会にて、ナマエは『優勝したチームには俺が何かしてやる』と言い、見事優勝したのはオヤジ&ナースチーム。その褒美として、ナース達は島に着いたらナマエと一緒に買い出しに行きたいと言ったのだ。

「荷物持ちくらいしか出来ないが…、いいのか?」
「全然いいですって!」
「ナマエ隊長が居るだけでいいんですから!」
「…オヤジみたいなこと言いやがって」

笑顔で答えたナースに少し照れくさくなったナマエ。僅かに顔を俯かせてはにかんだ。

「あ!今の笑顔素敵です!!」
「ちょっと、カメラ早くー!」
「ナマエ隊長!少しの間で良いんでそのままの笑顔でいてください!」
「きゃあああ!エリザさんが鼻血を出して倒れたわー!」
「今は写真が先よ!早くエリザさんをそっちの隅に転がしといて!!」
「(こういうのが無かったら普通にいい奴らなんだけどなぁ…)」

その時のナマエは非常に遠い目をしていたとかしていなかったとか。




≡≡≡≡≡≡




「…で、何買うんだ?」
「医療関係の物は他の子達に任せてるんで、私達はお酒を買いに行きましょう!」
「酒?」

ナマエが首を傾げた。ナース達はオヤジは勿論、クルー達にも酒を飲むのは程々にするように言っているため、自分達はあまり進んで酒を飲まないようにしているのだ。もし飲んだとしてもアルコール濃度が低めのカクテルだったり、ノンアルコールの酒だったりすることが多い。

「珍しいな。お前らが酒を飲みたいなんて」
「久しぶりにプチ女子会でもしようかと思っているので」
「というか、半分以上はエース隊長への愚痴会のようなものですけどね…」
「あぁ…」

すまんな、俺の愚弟が…。ナマエ隊長は悪くないですよ…。…そう言ってくれると助かる。じゃあ私と結婚してください。どさくさに紛れて何を言ってるんだエリザ。楽しそうな(?)会話をしつつ酒屋へ着いた一行。

酒の事なら結構詳しいナマエだが、カクテルのことになると別。いつも飲んでいる酒はオヤジやクルー達が飲むのと同じ物で、アルコール濃度が高く、辛口の酒が比較的多い。対して、ナース達が飲んでいるようなカクテルやノンアルコールの酒はあまり関わりがない。そのため、ナマエやクルー達はあまりナース達と酒を買うような機会は無かった。(荷物持ちで連れて行かれることはあるが。)

「それじゃあ、これとこれとー…あっ、そこにあるのもください。あと…」
「…結構買うんだな」
「カクテルはナマエ隊長が飲んでるようなお酒とはちょっと違いますからね」
「色々混ぜたりするんですよー」
「へぇ…」

興味深そうにナースが買っていく酒やカクテルシロップを眺めるナマエ。ナマエがカクテルに興味を持った様子を見て、傍にいたエリザが声を掛けた。

「ナマエ隊長も飲んでみます?私達と一緒に」

半分冗談、半分本気のつもりで声を掛けたエリザ。多分いつものように「断る」と一蹴されるんだろうと思っていたのだが、

「……いいのか?」

ちょっと期待したような顔でこちらを見るナマエに、エリザの何かがぱーんっ!と音を立てて破裂した。と同時に、エリザの鼻の奥から生暖かい何かが流れ出てきた。

「きゃああ!またエリザさんが鼻血を出したわ!」
「ナマエ隊長…後生ですのでもう一度その顔してください」
「そのカメラをどけたらな」

少しでもカクテルを飲んでみたいと思ったのは間違いだったかもしれないと悩んだナマエだった。








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