「敵襲だー!!」
「…ん、敵襲…」
「ふぁ……ねみぃ…」
「ほら、夜なんだから特攻隊の出番だ。行くぞ」
知っているかもしれないが、特攻隊とはキイチが作った隊。隊長はキイチで、副隊長はセツ。他の隊と同じように隊員はゼキを含め100人程。
仕事の内容は他とほとんど一緒だが、他の隊と違って主に皆が休憩している夜や宴の時が特攻隊の当番となっている。現在は夜のため特攻隊の当番だ。
「お前ら!!夜だからって油断すんなよ!!」
「「「…うぃーっす…」」」
「…今日一番頑張った奴には俺から褒美をやる!気を抜くなよ!!」
「「「はいっ!!!」」」
「(現金な奴ら…)」
一気にやる気の上がった隊員達を見て、キイチはこっそりと溜め息を吐いた。
「行くぞお前ら!!オヤジの誇りに泥を塗るなよ!!」
「「「うぉおおー!!(キイチ隊長の褒美!!)」」」
「特攻隊の奴ら張り切ってんなー」
「…アイツら、キイチの褒美が欲しいだけだろい」
「キイチのご褒美は俺が貰う!!!」
「おまっ今日は2番隊は当番じゃないから!!」
「うるせぇえええ!!キイチのご褒美が俺を待ってんだよ!!」
「待ってねぇから!!こら、火になんな…ってあっちぃ!!」
「離せぇええええ!!!」
「(うるせぇ…)」
「キイチ隊長ー。何かモビーの方騒がしくないっスか?」
「(…あの炎、エースだな……)ロイカ、今は目の前の戦いに集中しろ」
「ういーっス」
向かってきた敵を海へ叩き落とし、キイチは敵船の中へと入っていった。
≡≡≡≡≡≡
――…バキッ
「……んー、ここは…」
何個目かのドアを蹴り破り、部屋へと入るキイチ。中には大柄の男……恐らくこの海賊船の船長だろう。
「…何だ。俺の船に乗り込んできたんだからそれなりに強そうなのが来るかと思ってたんだが……。こんな餓鬼一匹だけかよ」
「……ちっ、ハズレかよ」
「んだと!!?」
舌打ちされたのがムカついたのか、男はキイチに向かって大きな斧を振り下ろす。だが、キイチは軽々と横に跳んで避けた。
――ズドォン!!!
「あっぶねーな…」
「俺の船に乗り込んできた事を後悔しやがれクソ餓鬼…!」
「ざァんねん…お前こそ、白ひげの“烏”に喧嘩を売った事後悔しな!」
≡≡≡≡≡≡
「キイチ遅いなー」
「中で敵の船長とでも戦ってんだろい」
「うー…キイチのご褒美ー…」
「「諦めろ」」
「くぅっ……!!」
―――…ガッシャァアン!!!!!
「「あ」」
「終わったねい」
「おーい!」
「「キイチ!!」」
「マルコー!この船めっちゃ良い酒があるんだ!!運ぶの手伝ってくれー!」
「分かったよい」
「姉さーん!俺が運びますよー!」
「セツじゃ一気に運べねーだろうが」
「……役立たず…」
「ガーン!!!」
マルコは酒を運ぶ手伝いをするために不死鳥になり、キイチの方へと飛んでいった。そして、ゼキに役立たず扱いされたセツは暫く凹んでいた。
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