「サッチ隊長迎えに来たんスけど」
「おぉ、セツ!久し振りだな!」
「赤髪…って酒くさ!!」
「宴やってんだ!お前もどうだ?」
「遠慮するっス、さっさと………おい、まさかサッチ隊長連れてったのって…」
嫌な予感がして顔を顰めるセツ。そしてタイミングよく船内に続くドアが開いた。
「唐揚げできたぞー!」
「「「うおおおおお!」」」
「呑気に料理してないでさっさと帰りますよサッチ隊長!!赤髪のクルー達も喜ばないでください!!」
「おお!?セツ、迎えに来てくれたのか!」
「えぇそうです他隊の俺がわざわざ迎えに来ましただから早くそのエプロン返してきなさい!」
「待てって、まだローストビーフとカルパッチョとエレファント本マグロのステーキを作り終わってないんだよ」
「何故うちよりも手間をかけて料理してんスか!?」
叫ぶセツの脳裏には今日の夕食、大盛り野菜炒めと海王類の塩焼き、白飯、卵スープが過ぎる。帰ってこないサッチのせいでコック達が急遽メニューを変更したのだ。
「良い材料があってなー!ははは!」
「はははじゃないです!帰りますよ!マルコ隊長がお冠なんスから!」
「え…じゃあ帰んない」
「何でここで帰らないという選択肢が湧きあがるんスか!?あんたはもう、帰るorゴートゥホームなんですよ!」
「嫌だマルコの説教長いんだぞ!」
「知ってます!でもここで遅くなったら俺がマルコ隊長に説教されるんスよ!」
「お前等他隊なのに仲良いなー」
「黙ってろ事の元凶!!」
呑気に酒を煽るシャンクスにセツが吠える。クワッ!というより、グワッッ!!という勢いである。噛みついたら食い千切れるまで離さないだろう。まあまあ、とシャンクスは変わらずのほほんとした空気を醸し出す。
「良いじゃねェか!少しくらいお前も飲んで行け!!」
「だから俺は飲まねーって言って…がぼふっ!!」
「セツのちょっといいとこ見てみたい〜♪」
「「「「一気!一気!」」」」
「○※¥%◆Д×Ζ¶З!!!???」
(※一気飲みは生命に関わります。絶対にしないでください。)
「セツ、お頭は相当酔っ払っているから絡まれると面倒…って遅かったか」
酒樽を抱えたベンがのっそりと船内から出てくる。甲板で酒瓶を口に突っ込まれて悶えているセツと、その酒瓶を持って楽しそうにコールする船長とそのクルー達。そのころのサッチは、食堂へ戻り調理を再開していた。ちゃっかり。
「…おい、窒息しかけてるぞ。誰かそこの馬鹿から酒瓶を取り上げろ」
ベンの横から慌てた様子で船医が駆けていった。そしてセツを押さえているシャンクスに飛び蹴りをかました。迷いのないその攻撃に、何度も同じような場面に出くわしていることが窺える。
「人様に一気飲みさせるたァ一体どういう了見だ、ああ?テメェそれで相手が死んだ時は責任取れんのかよ。相手は白ひげだぞ?」
「俺は死んでもいいのかよ…」
「お頭は不死身だろ?」
「はっはっはー……うちの船医が冷たい…悲しい…」
「(自業自得だろ)」
冷静に心でツッコミを入れるベン。まさにその通り。
「料理できたぞー!」
「「「うおおおおお!」」」
「(帰りてェ…)」
セツは甲板に倒れ伏しながら早くマルコがこちらに来ることを願った。
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