「あいつは出来たのに」
あいつって誰?
「あの子ならきっとこれくらい簡単に…」
あの子って誰?
「NO,19786だったなら―――」
「あのNO,19786なら―――」
「NO,19786が―――」
「NO,19786は―――」
NO,19786って、どれ?
「やぁ、君がNO,19786に次ぐ完成品?」
…だぁれ?
「あぁ…そっくりだ。僕のNO,19786に、僕が求めたNO,19786に!」
「肌や髪の質、血液型、骨格、身長から体重は全てNO,19786と同じです。しかし、瞳の色だけは…」
「…うーん、確かに。ちょっとだけ人工的っぽいかな?あの子はルビーみたいだったけど」
「で、ですが!このNO,28751だけが、NO,19786がこなした試験に唯一クリアしたんです!」
「えぇ、NO,19786とは違って回復速度や力は劣りますが、それ以外はほぼNO,19786と似た結果が出ました!」
「へーぇ。そうなの?君なら、僕の言うことを聞かなかったNO,19786の代わりになるのかな?」
しらない。NO,19786って?
「君の元になった実験体だよ。鏡は見たことあるかい?」
ない。
「そう、じゃあ見せてあげよう。誰か姿鏡を」
「こちらに」
……これが、わたし?
「そうだよ。“前”の君の姿は知らないけど、“今”の君の姿はこれ。NO,19786と全く同じ」
これが、NO,19786?
「うーん、まぁ、そうだね。君と同じ姿をした実験体はいっぱいいるけど、本物のNO,19786はちょっと目の色が違う」
め?
「そう。写真は…手配書があったっけ。こんな感じなんだ」
あかい。
「そうだね。君はちょっと赤みが強いけど、NO,19786のは深みがあるっていうのかな?」
「やはり瞳の色は実験に関係するのでしょうか?」
「多分ね。…あーあ、やっぱりあの時NO,19786を無理矢理でも買収しとけば良かったかなぁ。あの方に言えば、きっと買ってもらえたと思うんだけど」
……NO,19786、これが、NO,19786。
「ま、仕方ないか。あの方も今は七武海だから、色々とお忙しいんだろうし」
――…これが、わたしの“すべて”をうばったやつ!
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