壱拾萬打企画! | ナノ






俺に、妹が出来た。…いや、妹自体は前からいるんだが、そいつはクソ生意気で可愛げの欠片もないようなガキだ。この前なんか俺の朝飯を半分以上食い散らかしやがった。あんなの俺の妹とは認めんぞ。

それに比べて、新しくできた妹は


『あう』
「……」
『んー、むっ!』
「……」
『…む?』
「…………くっっっっっそ可愛い!!!!」
『むぉ!?』





その笑顔、プライスレス





「あーもう可愛い。もう俺アルのためだけに生きていく」
「(小6風情が何を言ってるんだか…)」


ぎゅうぎゅうとアルを抱きしめ、俺は幸せの一時を味わう。ぷにぷにほっぺが気持ちいい。このくらい手触りのいいクッションがあればいいのに。そうだ、将来俺が作ればいいのか。


「親父、俺クッション職人になるわ」
「突然何を言っている!?」
「そしてアル等身大クッションを何個も作ってベッドの周りに飾る。勿論寝る時はアルも一緒に抱きしめて寝る。……なんて素晴らしい未来なんだ…」
「恍惚とした表情で気持ち悪い事を語るな!」


声を荒げる親父は置いといて俺はアルと向き合う。ぱっちりとした目が俺へと向く。さっきまできゃっきゃとはしゃいでいたアルは、俺が真剣な顔をしてるのが分かった途端に大人しくなった。なんていい子なんだ……!!


「結婚しよ」
「待て!何がどうしてそんな話になった!?」
「煩いな。親父には関係ないだろ」
「いやいやいや、関係ありまくりだ!!」


俺はお前の親だぞ!?と叫ぶ親父は置いといて俺はアルを見つめる。瞬きを一つしたアルは、俺の顔を見つめながらこてんと首を傾げた。あ、やべ。


「鼻血出た」
「何があった!?」
「ふふっ、この小悪魔め…vV」
「語尾にハートマークを付けながらアルの頭を小突くのは止めろ気持ち悪い!」
「煩いな。さっさとティッシュを寄越せ」
「お前は俺を何だと思ってるんだ!?」
「嫁に逃げられた駄目男」
「逃げられてない!母さんはただ忙しくて家にいないだけだ!」
「ほんとかよ……むっ、」
『む!』


親父に言い返している時、鼻の下辺りに変な感触がした。何かと思い視線をそちらへ向けると、


『ちー、めっ!』


鼻血を出しっぱなしにしてた俺の鼻に、ティッシュを押し付けてるアルがいた。しかも『血を出しっ放しにしちゃ、めっ!でしょ!』だなんて…(言ってない。)


「絶対結婚しよ」
「おい待て」
「待たん。アル、お前が16回目の誕生日を迎えたら最高の誕生日プレゼントを渡すからな。式場は何処がいい?」
「待て待て待て!そんな最短ルートで娘を結婚させる気はないぞ!?」
「突っ込むところはそこか?」


ああああ間違ったあああああ!と叫ぶ親父。さっきから本当にうるせぇな、こいつ。


「なぁ、アル」
『む?』
「俺と結婚しよう」
「おいロー!」
『にゅ?』
「な?絶対に幸せにするから」
『や!』
「!?」


ここでまさかの『嫌!私は貴方と結婚することはできないわ!』発言。(だから言ってない。)


「な、何故だ!?俺なら絶対にアルの嫌がることなんてしないし、好きなだけ甘やかしてやるのに!!」
『やーっ!……ふぇ、ふえええええん!』
「っ、アル…!?」


俺が詰め寄ればアルが泣き出してしまった。大きな目からぼたぼたと大きな滴が零れ落ち、俺の服がどんどん濡れていく。それを見かねたのか、親父は俺からアルを取り上げてしまった。俺はというと、どうしていいのか分からずただオロオロするしかない。な、何がいけなかったんだ…。俺はただ、どうしてアルが俺と結婚するのを嫌がったのかを聞こうとしただけなのに…!


「アル…?」
「だいじょぶか、アル!…って、お前のせいかへんたい!」
「アル、どうした?どこか痛いのか?」


アルの泣き声に呼ばれたのか、ホーキンスもキッドもボニーもやってくる。キッドに至っては俺に蹴りを繰り出してきたので蹴り返した。ら、また蹴り返された。何だこのクソ生意気なガキは…!!


「親父!アルを返せ!!」
『ふぇえええん!』
「ロー、声を抑えろ。アルが余計に泣いてしまう」
「じゃあ早くアルを…ぅ!」


返せ、と続けようとしたが鼻にティッシュが詰められたせいで言葉が途切れる。…そういえば、鼻血が出ていたんだっけ。


「アルが嫌がったのはお前の鼻血だ」
「……は?」








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