突発部屋 | ナノ
「あ゙ー…キイチ、で…す」

敬語慣れねぇ。


あれ、敬語使ったのっていつ振りだ?


あれから。マジで弥三郎に家…もとい城まで連れて行かれた。とりあえず色々と突っ込みたいことはあるが、まず言わせろ。城とか聞いてねェ。確かにうちのモビーも大概だが、ここまででかい家(城)に案内されるとは思ってなかった。何だこれ。気分的にはマリージョアに案内されて「ここが俺の家なんだ!(キラキラ)」とか言われたような気分だ。自分でも何を言っているのか分からなくなってきたが、そのぐらい驚いているってことだ察しろ。しかも案内された先が殿様の部屋とかそれ何て拷問。これ以上俺を混乱させるな弥三郎。その上殿様を「ちちうえ!」とか呼ぶな。もう俺のライフはゼロだ。

「弥三郎が世話になったようだな!俺は国親ってんだ、よろしくな!」
「お、…いや、はい」

危ない。いつも通りに返事をしようとしてた。一応目上の人間だ、タメ口なんてもっての外だろう。つか、何か天井から物凄く視線を感じる。殺気みたい視線を感じる。敬語使え正座しろ平伏せと言わんばかりの視線を(ry。何だこれ。頭使いすぎて疲れてるってのにこれ以上俺を悩ませる種を増やすんじゃ…

「ちちうえ!キイチをここにおいてください!」

止めろ弥三郎、もう本当お前黙ってろ。俺の頭がオーバーヒートしそうなくらい熱を持ってるのを知らんのか。

「あぁ、弥三郎が言うならいいぞ」

…おい、それでいいのか殿様!見ず知らずの人間を拾ってきて剰(あまつさ)え、家に留めようとか言い出したんだぞお前の子供!!何さらりと許可出してんだよ断れよ!!いや、確かに有り難いが!!
この親にしてこの子あり。そんな言葉が頭を過ぎる。そろそろ落ち着くことすら忘れて声を上げそうになった。マジで帰ってこい平常心。ここまで平常心をぶっ飛ばされてたのはスモーカーに本気で子ども扱いされて抱っこされ…げふん、何でもない。

「ま、その前に自己紹介からだな。色々質問するがいいか?」
「…はい」

……良かった、少しはまともだったらしい(失礼)。質問内容は名前に始まり、好物だったり海は好きかとか何処から来たんだとかその他諸々。職を聞かれた時、海賊だと答えたら二人から凄く輝いた目で見られた。そんなに珍しかったのだろうかと思ったが、そうでもないらしい。国親……さん、も海賊をやっているんだとか。

「鬼ヶ島の鬼とはこの俺のことよ!」

すまん、意味が分からん。
俺の世界について話をしてみたが、分かるような事は何一つ出てこなかった。その代わり、泣きながら「ここで良かったら何日でも住めばいい」と言ってくれた。

「……御人好し」
「そんな迷子みたいな顔したやつを外に放り出せるかよ」

頭を撫でられた。オヤジほどではなかったが温かかった。少しだけ泣きそうになったのは秘密だ。その後、敬語を使わなくてもいいと笑ってくれた。


眼帯の事は、触れられなかった。


▼ちょっとシリアス?
詰め込みすぎた感がパネェです…。

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