「あららら、アルちゃんじゃないの」
『あ、クザンさんお久しぶりです。いつも父がお世話になっています』
「いえいえこちらこそ」
『ですよね』
「そこは謙遜するとこじゃないの?」
『え?』
「うんごめん俺が悪かったからそんな真顔で聞き返さないで」

≡≡≡≡≡≡

「アルじゃねぇか。親父に届け物か?」
『スモーカーさん。そうなんです、お父さんの部屋って何処か知りませんか?』
「また迷ったのか?」
『迷ったのは私のせいじゃないです。話しかけてきて社内を無駄に連れ回した挙句の果てに放置プレイするクザンさんがいけないんです』
「……悪いな、あの上司が」
『いえ、着いていっちゃう私もいけないんですし』
「お前、いつもは無駄に警戒心強いくせに何であいつには着いていくんだよ」
『…何でしょう、甘い悪魔が私を誘うのがいけないんです』
「つまり菓子に釣られた、と」
『だってクザンさんのくれるお菓子って無駄に高級だし』
「いつか不審者に誘拐されるぞお前」
『大丈夫です。知らない人に貰っちゃいけないんです、知ってる人ならいいんです』
「屁理屈を言いやがって…」
「アル、早かったな」
『あ、お父さん』
「わざわざ悪かったな、ありがとう」
『どういたしまして』
「おいドレーク、お前娘にどういう教育してんだ。こいついつか誘拐されるぞ」
「?」


お父さんの会社の人は親切です
(それじゃ、失礼しましたー)

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