流した先に 1 |
また零崎の知らないところでボコられることが決まってしまったけど、まぁ、いいや。
冥利君にあってうだうだ話してたら練習する気も失せてきたし。なんかマック食べに外出たみたいだ。マック大好きとか言うわけでもないのに。
「冥利君この後どうするの?ぼく帰るけど」
「あ?あー、俺も昼飯食いに来ただけだしな。やることもねぇから家帰ってゲームでもするさ」
「へぇ、見た目らしい事もするんだね。何か安心したよ」
「どういう意味だ。この野郎スーパーボールぶつけるぞ」
「ごめんなさい」
「謝るの早すぎだろ」
「だってスーパーボール痛そうだし・・・。ていうか冥利君結構手ぇ出すの早いね。血の気多い感じ?」
ぼくがそう言うと、冥利君は呆れたように当たり前のようにため息をつく。
「ふん、血の気が多いかはしらねーけど手ぇ出すのが早くないと風紀委員長なんて務まんねーし、俺の流儀的にも合ってんだ。それで今までやってけるんだから問題ねーだろ」
「ふぅん。因みに流儀って?」
俺に逆らう奴は○でも殺す的な台詞だったらぼくは噴出せずにいられるだろうか。まぁ。冥利君まだ患ってないっぽいし大丈夫だろ。
「やり過ぎなくらいが丁度いい。途中半端に甘ぇ事を続けるくらいなら最初から終わらせちまった方がいい。犬の躾と殆と変わらないね」
「・・刺激的だね」
「だろ?」
と、愉しげに冥利君は小さく笑った。
まぁ、確かに。毎日カツアゲしてた不良とかにそれは悪いことだから止めなさいって声かけたって止めるはずがない。寧ろ反感買って攻撃されるかもしれない。
今まで電車で新聞を広げて読んだり電話したり音楽煩かったりして止めない人が注意されたってまたすぐ再発するに決まってる。
注意する→反感を買う→やめない→さらに注意する→攻撃される→力でねじ伏せ言うことを聞かせる。
注意する→一度は止める→また注意する→繰り返す→同じ事を繰り返せないように力でモノを言わせる
この長くて面倒な過程を注意する→止めなかったら力でねじ伏せる。という簡略化させたのだ。
それは、それはとても
「素晴らしく効率的なやり方なんだね」
まぁ、そんなことが許されているのはあの変てこBOXの学園が許可してるってものも大いにあるんだろうけど、冥利君ならどこでもやってそうだ。
「だけど、やられる側としてはこれほど暴力的で簡易的で危機的なことはないね」
「それが嫌ならルールを守れ。苦情が出てくるようなことをしなけりゃいい。簡単なことだろ?馬鹿にだってわかる」
「あぁ、そうだね分かりやすくていい。惚れちまいそうだ。そして肝に銘じておくよ」
忘れなかったらね。
「さてと、そろそろお暇しようかな。結構混んできたし」
「そうだな。って、お前結局練習も何もしてねーじゃねーか」
「何か萎えちゃって・・・よくよく考えたら外で劇の台詞練習するって恥ずかしすぎるよね。しかも目の前に知り合いとか羞恥心抉られるよね。って事で家ですることにするよ」
「・・・・ふーん」
「因みにぼくは謎の騎士ってやつやるんだ。別に見に来なくてもいいよ。」
「見に来いってか」
「いいや。そんなつもりはないさ。冥利君は風紀委員長で忙しいんだろ?そんな君の時間を割いてまでぼくが中西くんから奪いとっ・・・もらった謎の騎士なんていうよく判らないキャラが出てくる演劇なんて見にくる必要ないさ。
もしさっきの台詞が気になるんだったら忘れてくれてもいい。戯言なんだよ所詮」
冥利君が微妙な顔をしてたのでフォローらしきものをしてみたけどさらに微妙な顔になった。何だこいつやっぱり意味わからんみたいな顔になった。
「あーー・・・・、んじゃ暇で暇で仕方なくなってたら見に行くことにするぜ」
「うん。そうしたほうがいい。」
「じゃあな。いーたん。また学校で」
「うん。またね」
ていうか本当にいーたんにしたんだね。冥利君。零崎とちょっと被るね。まぁ、気にも留めないけどさ。
「さて、家に戻るか」
冥利君と別れ、ぼくも家路に着こうと足を動かしていたのだけれども哀川さんが立てたのかもしれないフラグという奴はぼくをなかなか平和的に家に戻らせてくれないみたいだ。
「よう。ハッピーかい?」
視界に納めた瞬間問答無用で拳を硬く握り締め奴の刺青へと振り下ろしたぼくは悪くない。
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