流そうとはした。 1 |
生徒会長下克上のお話からまぁ、ぼちぼちたった頃。
もう存在が空気と化してきたような気もする向井君がぼくらに頭を下げてきた。
志人くんのようにはいかないとはいえ、中々の突っ込みキャラでもあるし。
なんだか苦労かけてるみたいだからたまには海老原君の頼みごとに耳を傾けて時間を消費するのもいいかもしれない。
「お前ら、部活やってないだろ?」
「おう」
「うん」
「俺ん所の部活に助っ人として出てくれないか…!?」
それはもう必死な形相の彼方君はもう一度頭を下げて拝むように手を合わせた。
部活の助っ人って、そんなに切羽詰まった部活に入ってたんだというどうでもいい発見と他に頼む友達はいなかったのかという疑問があった。
「所で、神田君って何部なの?」
運動部とかそういうのならパスかなー
横田君には悪いけどぼくは『青春ってすばらしいね!!』的な感じで運動して汗かくのは勘弁願いたいからね。
「演劇部だよ」
「へぇ」
「ふぅん」
意外性ないな
「おいおい、いーたん。そんな妙に失礼な事思ってやるなよ」
「いや、だって、ねぇ?」
「否定は出来ねーよなぁ」
「おいコラお前ら、何主語を抜かした会話してんだよ!熟年夫婦か!
あとぜってー何か失礼な事言ってるだろ!!」
「いやぁ、そんな事ねーよ。なぁ、いーたん?」
「そうだよ。気のせいだって。かっこわらい」
「お前ら…」
まぁ、神居くんを弄るのはこのくらいにするか。
確か演劇部の助っ人を頼まれたんだったかな?
うーん。
暇だし。生徒会長の騒動に巻き込まれに行くよりは断然マシかなぁ。
「神崎くん。演劇部の助っ人だっけ?いいよ。やっても」
「俺もいいぜ?」
「本当か!?サンキュー2人とも!!」
喜ぶ石垣くんにさっきまでの怒りは全く見えない。心底嬉しそうだ。
うん。引き受けて良かったかも
「その代わりランチ奢ってね」
「俺は甘いもんくれ」
「勿論だ。でも高いもん頼むなよ…?」
こうして、ぼくらは庵くんの部活の助っ人をすることになった。
演劇部って…何するんだろ?
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