ボク、勇者様を踏む

 叙任式翌日の今日は初出仕だからと早めに起床して準備をしていたら、着替え中に父様がノックもせずいきなり入ってきた。

 そして思わず固まってしまったボクを上から下まで見ると眉を寄せボクに慰めるような声をかけてきた。

「あー、まあ、リオンはまだ成長期じゃから、昨日の勇者殿の言葉は気にするんじゃな……「ノックもしないでいきなり入ってきて、何言いさらすんじゃあ〜!」ヒデブッ!」

 とりあえず失礼な言葉を吐いた父様に鉄拳制裁を加え……じゃなかった、親子とはいえどもノックもせず入室する非礼を丁重に諭して退室してもらう。

 そして全ての準備を終わらせボクが部屋を出ると、廊下では父様が大の字になってそこに寝ていた。

 その姿に苦笑を浮かべたボクは、祖父の代から我が家に仕えてくれて現当主の父様さえ頭の上がらない老執事セバスチャンへ父様が廊下で寝ている事を伝えるようメイド頭のキャシーへ頼むと、手早く朝食を取って城へ向かったのだった。


 余談だけどセバスチャンとキャシーは夫婦で我が家に仕えてくれている。

 つまり、キャシーもそれなりの年齢なんだけど、メイド頭だからってメイド服着用なんだよね。

 うん、すっごい有能なメイド頭なんだけどね? メイド服着用って……ハァ。

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