ボク、勇者様を殴る

 そんなボクにしてみたら記憶から抹消したいハプニングがあったけど、それ以降は滞りなく式は進められていった。

 まあ、なんにしても王族や集った貴族の前で勇者様をぶん殴った事を無かった事にしてもらえたのはありがたかった。

 下手したら不敬罪だとかなんだとか言われてお家取り潰しになってもおかしくない事だし。

 あ、だからといって勇者様の『小ぶり』発言はまだ許してないよ? ボクの成長期はこれからなのに許せる訳ないじゃん!

 まあ、とりあえず勇者様はこれから一緒にいる事になるから、教育的指導はおいおいしていくとして原因を作ってくれたアホスを締め上げなきゃねぇ。


 粛々と進められていく式を無難にこなしながら、楽しい楽しいアホスへの復讐計画を練り上げる事に意識の殆どを捧げていたボクだった。

 ああ、そういえば復讐計画を練っていたせいで、従者として付き従う勇者様の名前を聞きもらし父様から帰宅後にフリー・M・ダムだと教えてもらった。

 さて、明日は勇者様付き従者として初めて城へ行かなきゃいけないからそろそろ寝るべきかもしれない。

 そう考えたボクは寝間着に着替えると、モソモソとベッドで丸くなり目をつぶった。
その1おわり


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