結晶舞う(成辺)<甘>
軍事要塞の様な帝国学園にも冬が来た。
室内グラウンドは暖房がほど良く入っているが、屋外グラウンドは違う。
練習が終わる頃には体は暖まっているが、ウォームアップは正直辛い。
軽く走り込んできた息も白い。
「今日は降るかもな…」
「源田…雪、か?ったく寒いな…」
どんよりとした曇り空を見上げた瞬間
腰に僅かな痛みと熱。
正体は・・・
「寒いです、先輩。」
「俺も寒い。」
成神健也だった。
「せんぱーいっ、遅いと置いて行きますよー?」
部室の外からそんな声が飛んできて、ドアが開く。
調度ユニフォームから制服に着替えている最中だった。
「成神、寒ぃ。ドア閉めろ。」
冷気が素肌を撫でていく。
「はいはい…先輩、筋肉つきましたねー。」
とか言いながら、奴の指が脇腹や腹筋をなぞる。
「っく…成神、触んなっ…くすぐってぇ。」
「とか言って感じてたりしませんよねー?」
抱きすくめられ、背筋をなぞられる。
「っ!成神!!」
「先輩かーわいー♪」
そのまま額にキスされて、離させる。
「って、こんなことより早く帰りましょー?」
「元はと言えばお前が仕掛けてきたんだろ!?」
Yシャツと上着を羽織って外に出れば、
白く舞い散る雪が
「あー!!雪だぁ!!」
「あぁ…本当に降ってきたな…」
明日は屋外グラウンドは使えないだろう。
校門までの道も白く染まりだしている。
「せーんーぱーい。」
「!なんだ?」
「手、繋いで帰りません?…寒いですし。」
「…あぁ、今日だけだからな。」
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