バタン!
屋上に駆け込んで扉を閉めた。扉に背中を預け、ずるずると座り込んだ。
肩で息をして、バクバクと鳴る胸を抑えた。
≪紫乃!紫乃!一体どうしたの≫
「……何でも、ない…」
もう、さっきの変な声は聞こえない…胸の痛みも感じない。でも、残っているものがある……
言い知れぬ恐怖感。≪何でもないって顔じゃないわ!≫
千年アイテム…その力の所為でお姉さんはこんな姿になってしまった。
不思議な力を持つアイテム…王国に行けば、お姉さんが元に戻るかもしれない。
それに今…胸に感じた痛みは私に直感的に何かを告げていた。
「(私に王国に行け…って)」
暫く考えて…ある事を決意をした。
「私…王国に行くよ」
≪紫乃…!ペガサスは何考えているか分からない奴よ?そんな奴相手にするなんて危ないわっ≫
遊戯君達の話を聞いても、ペガサスの千年アイテムは人の心を読み通す力があるらしい。
デュエルをするとなれば、戦略を見破られて圧倒的に不利だ。だけど…。
「お姉さん、一生くまのぬいぐるみ姿は嫌でしょう」
≪えぇ。嫌ね≫
ほぼ即答でお姉さんは言った。
≪でも、可愛い姪を危ない目に合わせてまで、戻りたいとは思わないわ≫
「ありがとう。でも…行きたい。王国に行って、お姉さんを元の姿に戻したい…っ」
≪紫乃…≫
「私は…王国に行くっ!」
王国に行って絶対にお姉さんを元に戻す。そして千年アイテムの謎にも…。
END
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