≪私も連れていきなさい≫
朝食を食べている私の向かいにちょこんと可愛らしく座るぬいぐるみ。
その可愛らしい容姿には似つかわしくないドスの効いた声。
思わず、かじっていたトーストをテーブルに落としそうになった。
「え。あの、それはちょっと…学校にファンシーなぬいぐるみを持っていく訳に≪いいから、連れてきなさい≫
「はい…」
だらだらと断っていると強く、くまさんのぬいぐるみに言われた。
断ると最悪どうなるか予想出来る私は一つ小さくため息をついて渋々と頷いた。
おはようございます。恐らく昨日、童実野町で一番散々な目にあったと思われる紫乃です。
昨日、何故かDMの生みの親のペガサス・J・クロフォードさんにビデオ・レターを頂き、ビデオ相手におかしな会話をした後。
叔母の千年お姉さんが意識不明になったり、お姉さんの魂がテレビの上に飾ってあるくまさんのぬいぐるみに入ってしまったりと散々な日でした。
そして今日――。
私は千年お姉さんの魂が入ったぬいぐるみを抱えながら、学校の廊下を歩いてます。
何故、鞄にいれないかって?そんなの最初にやりましたとも。そしたら、お姉さんが…。
≪痛!痛いわ!教科書やお弁当箱にあったて…潰れる!!≫
と、大げさにぬいぐるみの姿で鞄の中を暴れ散らすので、こうして抱えながら道中、人々の痛い視線を浴びながらを歩いて来ました。
「人前で動いたり、喋ったら駄目ですからね」
教室の前で再度、確認する。
≪時と場合にもよるけどね≫
「本当にお願いしますから」
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