「『ギル･ガース』を攻撃表示で召喚！『ニュードリュア』を攻撃表示に変更…」


ギル･ガース
[ATK/1800　DEF/1200]
ニュードリュア
[DEF/800　→　ATK/1200]


そして、わざわざ、攻撃力の一番低いニュードリュアで、海馬のブラッド･ヴォルスに攻撃を仕掛けた。
攻撃力の劣っているモンスターで攻撃を仕掛けるとは。マリクのニタニタした顔を見る限り、策があるのだろう。
ブラッド･ヴォルスはニュードリュアの肩口に斧を叩き込んで、真っ二つに粉砕する。その途端、


「モンスター効果発動！こいつが戦闘によって、破壊され墓地に送られた時、フィールド上のモンスター1体を破壊出来るんだよ」


マリク　LP4000　→　LP3300


「『ギル･ガース』で海馬に攻撃だ！」


「速攻魔法発動！『エネミーコントローラー』発動！相手モンスター1体の表示形式を変更する！『ギル･ガース』を守備表示に変更！」


「くく…ターンエンド」


結局、ニュードリュアのモンスター効果で海馬のブラッド･ヴォルスを葬ったがいいはギル･ガースの攻撃も不発に終わってしまったか。
でも、この状況もきっと、奴にとっちゃ計算内の出来事なのであろう。





「俺のターン！『ホーリー･エルフ』を生贄に――『暗黒魔族ギルファー･デーモン』召喚！」


遊戯は城之内との約束を果たすと言った。ならば狙いは城之内以外の俺を含めた三人。
だが、海馬は散々城之内を馬鹿にした挙句、遊戯を挑発した。奴の場にモンスターはいない。遊戯は当然、海馬を狙うだろう。


暗黒魔族ギルファー･デーモン
[ATK/2200　DEF/2500]


「行くぜ、海馬！ギルファーフレイム！」


予想通り、遊戯は海馬を攻撃対象にした。それは海馬の方も同じだった様で、伏せカードを発動させた。


「トラップ発動！『地縛霊の誘い』！相手モンスターの攻撃対象はこのカードのコントローラーが選択する！
さて、どうするか……遊戯のギルファー･デーモンの攻撃対象のモンスターは、ふん！貴様のモンスターだ――」





「鏡野！！」





「へぇ、俺」


一瞬の沈黙を切り裂く声の主は俺を指差した。


「ギルファー･デーモンの攻撃を喰らうがいい！」


海馬に向っていたギルファー･デーモンの攻撃がぐにゃりとひん曲がって、こちらのコマンド･ナイトへ迫る。
まぁ、これも予想しなかった訳じゃないから、対策はあんだけどよ。





「リバーストラップ発動。『メレク神の要求』！自分のモンスターが攻撃対象にされた時、そのモンスター以外の自分の場のモンスターを生け贄に捧げる事で発動する」


「ふぅん！何を言う。貴様の場には『コマンド･ナイト』以外モンスターは存在しないではないか」


「忘れたのかよ…このデュエルは隣同士であれば、援護する事が出来んだろう」


「！」


「つっても、マリクに断られたら、終わりなんだけど！」


どうよ、マリクさん。





「俺は別に構わないけどよぉ」


こいつの今のデッキはI²社のペガサスから、直接渡された市場には出回らないレアカードばかり。
名前は勿論、効果も知らない。これから、闘うかもしれない相手となればそれはそれは厄介だ。
今は1枚でも、多くのカードの情報が必要。このデュエルはただの予選決め。勝つ必要など、無いのだ。





「くく、ありがとうよ…マリクの『ギル･ガース』生け贄に捧げ『メレク神の要求』を発動！」


この恩は忘れないぜ。


「トラップカード『メレク神の要求』は攻撃してきたモンスターの攻撃を無効にし、攻撃してきたモンスターのレベル×200ポイントのダメージをそのカードのコントローラーのライフに与える」


「『暗黒魔族ギルファー･デーモン』のレベルは6。よって、遊戯。お前に1200ポイントのダメージを与える！」


「…く」


遊戯　LP4000　→　LP2800


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