「先攻は貰いますよ。僕のターン、ドロー！」


「手札より、永続マジック『ミイラの呼び声』発動。自分フィールド上にモンスターが存在しない場合、僕は手札からアンデットを1体を特殊召喚する事が出来ます。来なさい…『ノーブル･ド･ノワール』！」


青白い肌に尖った長い耳の年配のヴァンパイアが現れた。その顔には深い皺が刻まれ風格を感じる。
真紅のマントを翼の様に広げ、優雅に紳士は私にお辞儀をするのだ。聖さんのモンスター達は本当に礼儀正しい。うわ、感心している場合じゃない！


ノーブル･ド･ノワール
[ATK/2000　DEF/1400]


「そして『ピラミッド･タートル』を通常召喚！カードを1枚伏せ、ターンを終了します」


ピラミッド･タートル
[DEF/1400　ATK/1200]





「私のターン！ドロー！」


吹き荒ぶ突風に負けじと、カードを引く。カードだけじゃない気を抜けば風に押されて、倒れてしまいそうだ。


「…手札からマジックカード『古のルール』を発動！このカードは手札からレベル5以上の通常モンスター1体を特殊召喚する事が出来る…！来い『真紅眼の黒竜』！」


真紅眼の黒竜
[ATK/2400　DEF/2000]


聖さんのフィールドがアンデットで埋め尽くされる前にあの永続魔法を何とかしたいけど、生憎手札に除去出来るカードは無い。
ピラミッド･タートルは戦闘で破壊し、墓地へ送られた時、デッキから守備力2000以下のアンデットを特殊召喚する…だったはず。
ならば先に倒すべきは――！


「バトル！『真紅眼の黒竜』で『ノーブル･ド･ノワール』を攻撃！黒炎弾！」


「君がノワールを狙う事は読んでいましたよ。ノワールのモンスター効果、発動！
ノワールがフィールド上に存在する限り、相手モンスターの攻撃対象はこのカードのコントローラーが選択します」


「…何！って、事はっ」


「よって、ノワールへの攻撃を『ピラミッド･タートル』へと、変更します！」


ノーブル･ド･ノワールへ向っていた黒炎弾はぐにゃりと、曲がり、守備表示のピラミッド･タートルへと、向う。
聖さんが早速、呼び出すアンデットと言えば、聖さんのお気に入りと言えば、決まっている。





「現れなさい、ヴァロン！」


突風でも、夜色のマントを優雅にはためかせながら、見麗しい男爵が華麗に天空デュエル場に登場した。
真紅眼の黒竜の攻撃力が勝っているとは言え、状況は聖さんの有利にある様に思えた。
これから、下手な遊園地のお化け屋敷よりも、恐ろしいアンデットコンボが繰り広げられるのだ。


ヴァンパイア･ロード
[ATK/2000　DEF/1500]


「ターン、エンド」





「僕のターン！リバースカード永続トラップ『追い剥ぎゾンビ』を発動」


「自分の場のモンスターが相手に戦闘ダメージを与える度に相手はデッキの1番上のカードを1枚墓地へ送らなければなりません。
更に装備魔法『悪魔のくちづけ』をヴァロンに装備。これで、ヴァロンの攻撃力は700ポイントアップし、君のモンスターの攻撃力を上回る」


ヴァンパイア･ロード
[ATK/2000　→　ATK/2700]


「バトル。ヴァロンで『真紅眼の黒竜』を攻撃！暗黒の使徒！」


「ぅッ」


「『真紅眼の黒竜』埋葬」


紫乃　LP4000　→　LP3700


ヴァンパイア･ロードの効果が発動される。このカードが相手に戦闘ダメージを与えた時、カードの種類を宣言し、相手はデッキからその種類のカード1枚を選択し、墓地へ送る。


「僕はマジックカードと宣言します。そして永続トラップ『追い剥ぎゾンビ』の効果発動」


「そして…ノワールでダイレクトアタック！」


紫乃　LP3700　→　1700


永続トラップ追い剥ぎゾンビの効果と、ヴァンパイア･ロードのデッキ破壊コンボは凶悪だ。
だけど、私は――勝たなくちゃいけないんだ。遊戯君達の前で格好悪いところは見せれない。


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