Black valkria




「これより、トーナメント一回戦を開始する」


トーナメント一回戦の対戦は抽選によって決められ、その対戦によって、勝者が決定した段階で次の抽選が行われるそうだ。
つまり、デュエルの直前まで、自分の対戦者が誰か、分からないって仕組み。


抽選方法はデュエリストナンバーである数字の書かれた玉を二つ、ランダムに選び出すビンゴ形式。
ビンゴ形式ってのは別にいいのだが、その装置に問題があった。青眼の究極竜を象った装置なのである。
海馬君は大喜びであるが、城之内君は非常にげんなりした様子であった。





「アルティメットビンゴスタート!」


青眼の究極竜のすぐ頭上の透明なドームの中で、ボールが踊る踊る。やがて、一つ目のボールが吐き出された。


「最初の対戦者の一人目は…鏡野紫乃!」


「へぇ!?」


吃驚した。私かよ!えぇ、ちょっと、私でいいのか。こんな凄い面子が揃っていて、初戦が私って。
頑張れとか、皆励ましの言葉を掛けてくれるが海馬君だけは鼻で「ざまあみろ」と、言う風に笑っていた。
え、海馬君の黒い陰謀ですか、これ!うぅ、対戦者は誰だろうか。





「対戦者となるデュエリストは――夜世聖!」


こんなに早く、再戦が叶う事になるとは。どちらともなく聖さんと視線が交わる。
冗談抜きで、海馬君の陰謀では無いにしろ、何者かに仕組まれた様な、気がしてならない。
マリク…王の敵達が何を仕組んでいるかは分からないが、私と聖さんは楽しく、いいデュエルをするんだ。





「トーナメントはバトルシップの特設リング・天空デュエル場にて、開始します」


「対戦者二名は中央螺旋エスカレーターでデュエル場にお上がり下さい」


磯野さんとお姉さんが中央を指し示す。いよいよ、一回戦の幕開けだ。










飛行艇の屋外に設置されたデュエル場。吹きさらす突風、痛いくらいの寒さを感じる。無茶な所にデュエル場作ったな!海馬君。
私は大丈夫だけど、決勝トーナメントに進出したデュエリストの中に高所恐怖症の人間がいたら、どうするつもりなんだろう。


デュエル場の中央で互いのデッキをシャッフルしながら、盗み見る様に聖さんを見た。
どうやら、聖さんは高所恐怖症ではなさそうだ。…大体、高所恐怖症の人間が飛行艇に乗る訳ないか!





「頑張れー!紫乃ちゃん!」


「二人共頑張ってー!」


デュエル場の端で、突風に押されながら、声援をくれる遊戯君達。





「ふふ、さぁ…楽しみましょうか」


「聖、さん」


突風で舞う前髪の隙間から、彼のダークレッドの瞳が一瞬、全く違う色に見えた。
気の所為かと、思う間も無くトーナメント一回戦を開始が宣言された。


「「デュエル!」」


紫乃 VS 聖 LP4000


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