Black valkria




「行ってきまーす!」


靴をスリッパみたいに履いて、玄関から飛び出す。後ろから、「気を付けてね!」と、お姉さんの声が飛んできた。
進級試験を経て、気が付けば今日で二年生へと進級。早いものだ。
長く童実野町にいれるとは思っていなかったけど、もう、この生活が続いて、半年くらいになる。
後、どれくらい皆と一緒にいれるのだろう。それを考えると、どうしようもなく不安に襲われてしまう。





以前、ペガサスのビデオ・レターと一緒に届いた両親からの小包には二つの白い封筒が入っていた。それだけ。
一つの封筒には手紙。内容は裁判の結果がもうすぐ出るとだけ、書かれていた。一行だったか、二行だったか、曖昧だ。お互いの都合つかずに中々進まないみたいだ。
一度だけ読んですぐに目の届かない場所にしまい込んだから。もう一つの封筒にはカードが入っていた。
以前、母さんに取り上げられたカード達。好きにしろって、事かな。


手紙と言うにはあまりにも、素朴過ぎる。メモみたいだった。私も、人の事を言えない。家を出る時に同じ様な感じだったから。


「(別に期待してた訳じゃない)」


何も言わずに飛び出して来たんだから、当たり前の事じゃないか。
――だらか、寂しいなんて、感じちゃいけないし、思ってもいけないんだ。


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